3種類の電池を備えた「光熱費ゼロ住宅」、東北・九州・関東に続いて東海へ拡大:スマートホーム
太陽電池・燃料電池・蓄電池の組み合わせによって電力の自給自足度を高めた「光熱費ゼロ住宅」が広がってきた。住宅メーカー大手の積水ハウスが全国各地に分譲住宅を建設して拡大計画を進めており、愛知・三重・岐阜の東海3県でも分譲プロジェクトを開始した。
積水ハウスが「グリーンハウスハイブリッド」の商品名で販売しているスマートハウスで、愛知県名古屋市に建設した6棟を10月から分譲する。続いて三重県で5棟の分譲を開始するほか、岐阜県でも大型の開発プロジェクトを計画中だ。すでに東北の宮城県、九州の福岡県のほか、関東でも茨城・千葉・神奈川の各県で分譲を開始しており、3種類の電池を装備したスマートハウスが全国規模で広がりつつある。
最大のメリットは光熱費をほとんどゼロにできる点で、家庭で使用する電力の大半を自家発電でカバーしながら、余った分を電力会社に売って収入を得ることができる(図1)。昼間は太陽電池と燃料電池(エネファーム)で発電し、余剰分を売電と蓄電池に振り向ける。固定価格買取制度では、このような2種類の発電方法を組み合わせた「ダブル発電」の場合には、買取価格が太陽光発電だけの場合よりも低い34円/kWhになる。
積水ハウスの試算によると、東京の一般的な住宅で4人家族の光熱費は年間で25万2900円になる。これに対して3種類の電池を備えたスマートハウスでは、売電収入を含めると光熱費がゼロ以下のマイナス1万1400円になるという。電力会社とガス会社に支払う料金よりも売電収入が上回る計算だ。
その代わり建設費として、太陽電池(発電能力3.5kW)、燃料電池(同0.7または0.75kW)、蓄電池(蓄電容量8.96kWh)の合計で約600万円がかかる。単純に投資対効果を考えると、コストの回収に20年以上かかってしまうが、停電時にも電力供給が可能になるほか、今後の電気料金の値上げを想定するとコスト回収期間は短くなっていく。夏の昼間などの電力不足を解消することにも貢献できる。
3種類の電池はHEMS(家庭向けエネルギー管理システム)で制御する。給湯も可能な燃料電池の電力を優先して使い、太陽電池、蓄電池の順に使いながら、それでも不足する場合に電力会社の電力を利用する仕組みだ(図2)。停電時には3種類の電池から電力を供給するモードに切り替わり、発電して余った電力は蓄電池に蓄えられる。
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