スマートメーター市場に米国メーカーが参入、東京電力の国際調達にらむ:エネルギー管理
全世界で1200万台以上のスマートメーターを導入した実績がある米国のセンサス(Sensus)社が日本市場に参入する。年内に本格化する東京電力の国際調達に向けて、日本の通信事業者などと提携してスマートメーター向けの広域無線通信ネットワークを売り込む計画だ。
センサスは電力・ガス・水道の使用量を計測するスマートメーター向けの通信ネットワークシステムを構築・運用する大手メーカーで、欧米を中心に数多くの実績がある。年内に日本市場に参入する計画で、2月27日から東京で開催中の「スマートグリッドEXPO」にも出展している(図1)。
センサスが日本で狙う市場は、企業や家庭に設置される大量のスマートメーターを通信ネットワークで接続・管理する部分である。電力会社では「Aルート」と呼んでいるスマートメーターの基幹ネットワークに相当する。スマートメーターを各地域の基地局と結ぶためのフィールドエリアネットワーク(FAN)を手がけることがセンサスの目的になる(図2)。
基地局にはセンサスのトランシーバとアンテナを設置して、スマートメーターからのデータを集約する。長距離の無線通信を使って広範囲に及ぶネットワークを構築できる点が最大の特徴である。1つの基地局で5〜20キロメートルの距離をカバーして5万台程度のスマートメーターを接続することができる。
日本国内では広域の無線通信ネットワークを運営する通信事業者と提携して機器とサービスを提供する。東京電力が実施するスマートメーター関連の国際調達においても、日本の提携パートナーを通じて参画する方針だ。
スマートグリッドEXPOに合わせて来日したセンサスのアジア太平洋地域担当ディレクター、アンディー・スレーター氏によれば「すでに日本の有力企業と準備を進めている。6か月以内に日本支社を設立して事業を開始する予定である」。センサスは欧米ではIBMやシーメンスなどとパートナーシップを組んで、電力会社やガス会社、水道事業者などにスマートメーター向けのネットワークを提供している。
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