「クールIT」の1位はグーグルとシスコ、日本勢は4位の富士通が健闘:自然エネルギー
世界規模でIT事業を展開する21社を対象に地球温暖化対策のランキングが発表された。環境問題を追及するグリーンピースが評価したもので、3つの観点から各社に点数を付けた。1位はグーグルとシスコが同点で並び、日本勢では富士通が4位に入ってHPやIBMを上回った。
グリーンピースがIT分野の世界的な企業を対象に地球温暖化対策を評価する「クールITリーダーボード」を発表するのは今回で6回目である。IT企業の取り組みを「ソリューションによる貢献」「再生可能エネルギーの導入」「政治的な推進活動」の3つの観点から、各社に対するヒアリングなどをもとに100点満点で評価する。
最新の結果ではグーグルとシスコの2社が同点でトップに並んだ。3位はスウェーデンのエリクソンで、次いで日本の富士通が4位に入った(図1)。このほかの日本勢ではソフトバンクが11位、NTTが17位、NECが19位、東芝と日立製作所は最下位の20位だった。
グリーンピースは原子力をクリーンなエネルギーと認めていないことから、原子力発電設備の大手メーカーである東芝と日立の評価が低くなった。この2社は前回のランキングでは調査対象に入っていなかった。原子力発電に反対の姿勢をとるグリーンピースの意図を感じさせる結果になっていると言える。
3つの評価軸のうちソリューションによる貢献度では富士通がトップで40点満点のうち28点を獲得した(図2)。ライバルのIBMやHPと比べて、ITを使ったソリューションによるCO2排出量の目標値を高く設定している点が特に評価された。
2つ目の再生可能エネルギーの導入ではシスコがトップで、IBMやグーグルなど米国勢が上位を占めている。日本勢では富士通が最上位だが、それでも25点満点のうち10点にとどまる。
企業によって大きく差がついたのは3つ目の政治的な推進活動の項目だ。トップのグーグルが35点満点のうち22点を獲得したほか、ソフトバンクが21点で2位に入った。そのほかの日本勢は軒並み低い評価で、NTT、東芝、日立、NECはマイナス点を付けられている。
例えばNTTは三浦惺会長が経済団体連合会の副会長になっていて、経団連の地球温暖化対策に対する消極的な活動に参画したとみなされてマイナスの評価を受けた。NECは矢野薫会長が経団連の審議員会副議長に就いているため、同様にマイナスの評価につながった。
日本企業にとっては納得できない部分が多いと思われるが、海外からの評価は日本の常識とは違うことを認識すべきだろう。グリーンピースは電機メーカーに対しても同様のランキングを作成していて、そこでも日本勢は厳しい評価を付けられている。再生可能エネルギーの導入に積極的なアップルはITではなく電機メーカーのランキングに入っていて、最新版では16社中の6位である。
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