九州最大のガス会社が20MWを超える太陽光の計画、4カ所目の運用開始:自然エネルギー
西部ガスは分散化や多様化を通じたエネルギーセキュリティを図るために、都市ガスに加えて太陽光発電にも積極的に投資している。2013年7月末には4カ所目のメガソーラー「エネ・シード響南太陽光発電所」が運転を開始、既存の太陽光発電所と合わせて合計出力は5.4MWに達した。
西部(さいぶ)ガスは、福岡県を中心に長崎県と熊本県の16市16町、110万戸に都市ガスを供給する企業だ。都市ガスの製造、供給、販売が事業の柱となっている。規模も大きい。全国のガス会社のうち、第4の規模である。
このような企業でありながら、再生可能エネルギーへの取り組みを強化中だ。環境負荷低減、地域活性化の他に、分散化や多様化を通じたエネルギーセキュリティを取り組みの理由としているところが興味深い。
同社は既に九州の3カ所で太陽光発電所を運用している。「エネ・シード長崎太陽光発電所」(長崎市、0.6MW)、「大牟田太陽光発電所」(福岡県大牟田市、1.3MW)、「エネ・シード北九州太陽光発電所」(北九州市若松区、1.8MW)だ。
2013年7月末には「エネ・シード響南(きょうなん)太陽光発電所」(若松区)の運用を開始(図1、図2)、出力1.7MWが加わり、運用中の総出力は5.4MWに達した。
同発電所は約2万2000m2の土地を旭硝子から20年契約で賃借、日鉄エレックスが設計・調達・建設(EPC)を担当した。2013年3月から建設を開始し、シャープの太陽電池モジュールを約6900枚設置、年間発電量164万kWhを見込む。全量を九州電力に売電し、「売上見込みは20年平均で年間6000万円(税込)」(西部ガス)。今回の投資額は約4億5000万円だ。
図2を見ると、管理・運用コストを引き下げ、発電量を増やすために建設コストをかけて用地に手を入れていることが分かる。
西部ガスの太陽電池事業は、案件ごとに最適な方式を採る方針だ。1つが西部ガスグループの単独事業形式だ。今回のエネ・シード響南太陽光発電所がこれだ。西部ガスグループで再生可能エネルギー事業を担当する100%子会社エネ・シードが、単独事業形式の場合に運用を担う企業エネ・シードネクストを設立しており、今回もエネ・シードネクストが同発電所を運用する。
もう1つが、他事業者と共同出資して事業会社を設立する方式だ。2013年7月以前に運用を開始している3つの発電所はエネ・シードが51%、千代田化工建設が49%出資したエネ・シードNOKが運用している。後述するエネ・シードひびき太陽光発電所では、エネ・シードが51%、旭硝子が49%出資してエネ・シードひびきを設立した。
さらに21.4MWを追加する
太陽光発電所の計画はまだある。長崎市の設備を2013年9月までにさらに0.9MW増設し、合計1.5MWとする(図3)。さらに2014年9月までに若松区に出力20.5MWの「エネ・シードひびき太陽光発電所」を立ち上げる(図4)。「エネ・シードひびき以降も太陽光を拡張する他、太陽光以外の再生可能エネルギーの開発の可能性も検討する」(西部ガス)。
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