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冬の予備率は最低でも5.3%を確保、原子力なしで電力の安定供給が続く:エネルギー管理(2/2 ページ)
政府の委員会がまとめた今冬の電力需給状況によると、需要に対する供給力の予備率は5.3%が最低で、9つの地域すべてで電力不足の心配が生じる3.0%を大幅に上回った。企業と家庭の節電が進んで需要が減る一方、水力などの再生可能エネルギーによる供給力が想定を超えた。
水力・太陽光・風力による供給力が拡大
供給力の面では再生可能エネルギーの増加も見られる。水力発電は各地で最大需要が発生した日に想定以上の電力を供給した(図3)。特に効果が大きかったのは東北で、政府の委員会による想定値を49万kWも上回る出力を発揮した。
太陽光と風力も地域によって需給状況の改善に貢献している。中部では最大需要が発生した2月14日(金)の午前10時台に、太陽光発電によって20万kWの電力を供給した(図4)。冬の電力需要は朝と夕方にピークを迎えるために、太陽光発電の効果は限定的だが、今後さらに設備が増加して、供給力として見込める規模は大きくなっていく。
一方の風力発電は東北で効果が大きく、最大需要日の2月5日(水)に38万kWを供給した。当日の供給力のうち2.4%に相当する。このほか九州でも16万kWの供給力を発揮して1.0%分の増加をもたらした(図5)。
地域全体で3.0%以上の予備率を確保するうえで、再生可能エネルギーの役割が高まってきた。ただし太陽光と風力は天候の影響を受けるため、あらかじめ供給力の想定値に組み入れることは難しい。今夏の需給予測においても最低限にとどめることになるが、実際にはそれを大きく上回る供給力を発揮するだろう。
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