大型風車14基を建設、風速6メートル/秒を超える三重県の志摩半島に:自然エネルギー
大規模な風力発電所が集まる三重県の内陸部で新しい発電所の建設工事が始まる。風況に恵まれた志摩半島の尾根に沿って14基の大型風車を設置する。発電能力28MWで2017年3月に運転を開始する予定だ。さらに11基を増設して50MWまで拡張する計画も進める。
風力発電所の建設予定地は三重県の東部にある度会町(わたらいちょう)で、太平洋に突き出た志摩半島の根元にあたる(図1)。一帯の上空は年間の平均風速が6.8メートル/秒に達して風況に恵まれている。この風力発電に適した地域に、コスモ石油グループのエコ・パワーが「度会ウィンドファーム」を建設する計画だ。
度会町内の尾根に沿って約10キロメートルにわたる区域が発電所の建設範囲に入る(図2)。風車は直径が80メートルの大きさで、高さ60メートルのタワーに設置する予定だ。1基で2MW(メガワット)の発電能力がある。
当初は14基の風車を設置して、合計で28MWの規模になる。運転開始は2年半後の2017年3月を予定している。その後に11基を増設する計画があり、最終的には25基の風車で50MWの風力発電所を展開する。
風力発電の設備利用率(発電能力に対する実際の発電量)は年間を通した平均風速によって決まり、7メートル/秒の場合で約30%になる。これをもとに計算すると年間の発電量は当初の14基で7300万kWh程度を見込むことができる。一般家庭で約2万世帯分の電力使用量になり、度会町の総世帯数(約2900世帯)の7倍に相当する。
エコ・パワーは7年前の2007年から計画に着手して、2012年には環境影響評価の手続きを完了していた。ただし建設予定地は東側が伊勢志摩国立公園で、西側には県立自然公園がある。一部の区域は鳥獣保護区にかかることもあって、着工までに時間を要したものとみられる。
エコ・パワーは1997年に設立された日本で初めての風力発電専門会社である。現在は全国20カ所で128基の風力発電設備を運転している。その中で最大の風力発電所は青森県の「むつ小川原ウィンドファーム」で、21基の風車で31.5MWの発電能力がある。さらに和歌山県でも20MWの風力発電所を建設中で、2014年10月に運転を開始する予定になっている。
関連記事
- 高原一帯に90基を超える大型風車、干拓地や住宅地には巨大メガソーラー
エネルギー列島2013年版(24)三重 - 日本最大の風力発電所に180億円融資、2016年度に80MW稼働へ
三重県の青山高原で80MWの建設計画が進む - 大型風車の落下事故から丸1年、地元の理解を得て再建設が始まる
三重県の津市と伊賀市にまたがる「ウインドパーク笠取」 - 北海道の風車落下事故で原因判明、落雷による電流がブレードを破損
「オロロン風力発電所」の風車落下事故で最終報告 - 風力発電の3つの課題−環境影響、安全性、コスト−
再生可能エネルギーの現実(2)
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.