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4年前に豪雨の被害を受けた新潟・福島の水力発電所、28カ所が全面復旧:電力供給サービス
東日本大震災から4カ月後の2011年7月に新潟県と福島県を豪雨が襲い、東北電力の水力発電所のうち29カ所が浸水などによって運転を停止してしまった。被災から4年近くを経過した6月1日に最後の2カ所が運転を再開して、ダムの改良工事中の1カ所を除く28カ所が全面的に復旧を果たした。
東北電力が運営する大規模な水力発電所の多くは福島県と新潟県に集中している。2011年7月27日から30日にかけて2つの県を襲った豪雨により、福島県の西部を中心に大きな被害が発生した(図1)。東北電力の水力発電所も29カ所が被害を受けて運転を停止して、揚水式を含む合計137万kW(キロワット)の供給力が失われる事態に陥った。東北電力の発電能力の8%に相当する大きな損失である。
特に被害が大きかった福島県の西部には日本有数の水量を誇る「阿賀野川(あがのがわ)」が流れていて、主力の水力発電所が10カ所もある。被害が軽微だった発電所から徐々に運転を再開したものの、「本名(ほんな)発電所」と「上田(うわだ)発電所」の2カ所が最後まで残り、ようやく2015年6月1日に運転再開にこぎつけた(図2)。
2つの発電所ともに61年前の1954年から運転を続けてきた。最大出力は本名発電所が7万8000kWで、上田発電所が6万3900kWになる。この2カ所が運転を再開したことによって、水害に見舞われた29カ所のうち28カ所が復旧を果たした。残る1カ所は新潟県にある小規模な水力発電所(720kW)だが、被災する以前からダムの改良工事の計画があり、工事の完了を待って運転を再開する予定だ。
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