福島県の火力発電所にメガソーラー、震災を乗り越え1年遅れで運転開始:電力供給サービス
東北電力が太平洋沿岸に展開する火力発電所の構内に3カ所目のメガソーラーを稼働させた。当初は2013年度中に運転を開始する予定だったが、火力発電所が被災したため着工を遅らせていた。火力発電所の復旧を優先させて、計画から約1年遅れて営業運転にこぎつけた。
福島県・南相馬市の太平洋沿岸で「原町太陽光発電所」が1月15日に営業運転を開始した。東北電力の火力発電所で2番目の規模を誇る「原町火力発電所」の構内に建設したメガソーラーである(図1)。
このメガソーラーは震災前の2010年に建設計画を決めて、2011年度に着工、2013年度に運転を開始する予定だった。ところが東日本大震災によって火力発電所が甚大な被害を受けたため、その復旧を優先させて着工を遅らせていた。火力発電所が運転を再開した後に工事を開始して、約10カ月で完成させた(図2)。
発電能力は1MW(メガワット)で、年間の発電量は105万kWhを見込んでいる。一般家庭で290世帯分の使用量に相当する。太陽光パネルには発電効率の高い単結晶シリコンタイプを採用した。
東北電力は青森県と宮城県にある火力発電所の構内でもメガソーラーを運転中で、福島県の原町太陽光発電所が3カ所目になる。いずれの火力発電所も太平洋沿岸にあって震災後に一時運転を停止したが、原町火力発電所の被害が最も大きかった。全面的に営業運転を再開したのは震災から2年後の2013年3月である。
原町火力発電所の構内では太陽光発電に続いてバイオマス発電のプロジェクトも進んでいる。既存の石炭火力発電設備を拡張して、木質バイオマスを混焼できるようにする計画だ(図3)。
地元の福島県と宮城県の森林に残る未利用の木材をチップ加工業者から調達して、年間に約6万トンの未利用材を石炭に混ぜて燃料に使う。バイオマスの比率は1%になる。2015年4月に試運転を開始する予定である。
関連記事
- 年間6万トンの木質バイオマスを石炭と混焼、福島県の「原町火力発電所」
東北電力が石炭火力の発電設備を拡張 - 震災で停止していた福島の火力発電所、11月下旬に試運転開始へ
東北電力の原町火力発電所が予想よりも早く - 買取制度の認定設備で福島が第1位、再生可能エネルギーの供給力437万kW
固定価格買取制度が始まって2年余りで - 世界最高レベルの発電技術を太平洋に集結、脱・原子力のシンボルに
エネルギー列島2014年版(7)福島 - 巨大な蓄電池を北海道と東北の変電所に導入、太陽光や風力の出力変動に対応
北海道電力と東北電力が5年間かけて検証
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.