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太陽光パネル7680枚を浮かべる、水上式メガソーラーが貯木場の跡地に:自然エネルギー(2/2 ページ)
愛知県の湾岸地帯にある貯木場の跡地で水上式のメガソーラーが運転中だ。以前は材木を浮かべていた水面にフロート式の架台を設置して太陽光発電を可能にした。発電能力は2MWで、年間に660世帯分の電力を供給できる。フロート式の架台は軽量で腐食に強い高密度ポリエチレンで作った。
100年前に水力発電事業を開始
イビデンの前身は「揖斐川(いびがわ)電力」である。岐阜県内を北から南へ流れる揖斐川の上流は水量が豊富で流れが急なため、水力発電に適している。揖斐川電力は1916年に「西横山発電所」(発電能力3000キロワット)を運転開始して以降、揖斐川の流域に水力発電所を拡大してきた。
業態を変えた現在でも3カ所の水力発電所を運営している。老朽化した発電設備を更新しながら、3カ所を合わせて2万6900キロワットの発電能力がある(図4)。従来は発電した電力を生産拠点の事業場で消費していたが、2012年度以降に設備を更新した2カ所は固定価格買取制度の認定を受けて売電できるようになった。3カ所の中で最も古い「東横山発電所」(1921年運転開始)の設備も現在更新中だ。
水力のほかにも事業場の構内に高効率のガスコージェネレーションシステムや太陽光発電システムを導入して発電量を拡大してきた。2014年度の実績では国内の事業場で消費した4億4300万kWhの電力のうち、水力で1億kWh、ガスコージェネで6200万kWhを自家消費する一方、残りの2億8000万kWhを他社から購入した(図5)。水力発電の売電量は6500万kWhである。
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