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全固体リチウム電池、発明者が狙う次の一手:蓄電・発電機器(2/3 ページ)
再生可能エネルギーの大規模利用や電気自動車の普及に役立つリチウムイオン蓄電池。同電池の発明者がテキサス大学の研究チームを率いて、これまでにない「めっき動作」で電力を蓄える全固体リチウムイオン蓄電池を開発した。蓄電池に求められる全ての性能を改善できる。
全固体リチウムイオン蓄電池を超える
今回の蓄電池は、全固体リチウムイオン蓄電池の一種だ。液体電解質を用いておらず、固体の部材だけで動作する。
一般の全固体蓄電池では、負極、固体電解質、正極の全てを粉末状に加工し、中央部に固体電解質のみが分布するように配置させている。
これが開発品との大きな違いだ。開発品は正極と負極の間にガラス質の固体電解質膜をはさんだ。従来の全固体蓄電池と比較して正極と負極が接触する確率が下がる。
安全性が確保できないとして避けられてきた金属リチウムの板を負極に用いることができたのはこのためだ(図2)。正極は硫黄インクを表面に塗布した銅板。Goodenough氏によれば、構造が単純であるため、量産にも向くという。
図2 開発したリチウムイオン蓄電池セルの構造 灰色の丸はリチウムイオンまたは中性のリチウム、黄色の丸は硫黄、黒丸は炭素(カーボンブラック)を表す。正極上の硫黄、電解質、炭素の比率は47:43:10だった(重量%) 出典:発表論文に基づき、厚みを強調して本誌が作図
固体電解質が最大の特徴
今回の開発の成果は固体電解質にある。
図1で紹介したBraga氏はもともとポルトガルのPorto大学において、固体ガラス電解質の研究開発チームに属していた。
約2年前、Braga氏はGoodenough氏の研究グループとの協力を開始。研究室のAndrew J. Murchison氏とも情報の交換を始めた。発表資料の中でBraga氏はGoodenough氏の貢献について指摘している。今回の固体ガラス電解質の開発につながったのは、Goodenough氏が固体ガラス電解質の組成と性質の関係を追求した結果だという(図3)。
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