AIがスポット市場の電力価格を予測、日本気象協会がオンライン配信:電力供給サービス
日本気象協会は日本卸電力取引所(JEPX)のスポット市場を対象とした、電力取引価格の予測サービスの提供を開始した。スポット市場の30分ごとの電力取引価格を人工知能で予測するサービスで、小売電気事業者の電力調達計画の作成を支援する。
日本気象協会は日本卸電力取引所(JEPX)のスポット市場(一日前市場)を対象とした、電力取引価格予測サービス(以下、プライス予測)の提供を開始した。
小売電気事業者は「計画値同時同量制度」に基づき、顧客への供給電力を事前に調達する必要がある。その方法の1つとして利用されるのがスポット市場だ。特に自社発電設備の少ない事業者は、翌日販売する電力の多くをスポット市場から調達している。
日本気象協会が提供するプライス予測は、スポット市場でのシステムプライスを人工知能(AI)で予測する。これにより小売電気事業者や発電事業者は、電力の市場調達コストの算出や、電力需要予測値に合わせた最適な電力調達計画を作成しやすくなる。
プライス予測ではAIによる解析技術と、気温や日射量をはじめとする日本気象協会独自の気象予測データを用いている。日本気象協会はこれまでに「電力需要予測サービス」や「太陽光発電出力予測サービス」などのエネルギー関連事業者向けのサービスを展開している。これらのノウハウを活用し、電力の需要および供給を考慮したプライス予測を実現するという。
プライス予測はオンラインで配信する。配信する内容は30分単位、1日48コマの取引価格と、スポット取引インデックスの2種類。インデックスについては、DA-24(0〜24時の平均値)、DA-DT(8〜22時の平均値)、DA-PT(13〜16時の平均値)の3種類を提供する。1日当たりの発表回数は、2時、8時、14時、20時の4回。なお、2017年秋からは地域ごとのエリアプライス予測の提供も開始する予定だ。
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