ブログ・SNSをマーケティングに生かすには:ネット時代の新潮流――CGMとは(8)(2/2 ページ)
ブログやSNSを使ってマーケティングを行う企業が増えている。商品に対するマイナス評価が書かれる可能性もあるが、マイナスの意見が内容の信頼性を高め、商品へのロイヤリティーを高めることにもなり得る。
「サイレントヒル」というゲームのキャンペーン用いられたブログパーツの場合は、パーツを張り付けることで、そのブログを見に来た人の画面上に、ゲームの内容を連想させるようなFlashアニメーションを表示し、同時にこのブログパーツを、見に来た人のブログにも貼るよう勧められます。これにより、ブログパーツを見た人が、自分のブログにもパーツを貼るという、口コミ的なPRを発生させることができました。
SNSを利用する場合
SNS「mixi」に公認コミュニティーを立ち上げ、コミュニティーのメンバーに対して商品に関する情報発信を行ったり、ユーザーと意見交換をするマーケティング手法もあります。企業のスタッフや仮想のキャラクターを管理人としてコミュニティーを運営し、商品に対するユーザーの興味を高めながら、口コミ的に他のメンバーへ紹介していってもらう、という効果を期待したものです。
商品やサービスに対するユーザーのロイヤリティーを向上させる効果があるほか、ユーザーの書き込みの量や内容を全体的にとらえることで、商品やサービスにどの程度関心を持ったかを類推することなどが可能です。
マーケティング用のコミュニティーは、バナー広告を使って認知や注意を獲得し、その後、コミュニティーを通じて興味や欲求を高める、という流れとなっているものが多いようです。
口コミ効果に大きな影響を及ぼすオピニオンリーダー
ブログやSNSに参加しているユーザーの中には、他のユーザーに強い影響を及ぼすオピニオンリーダーが存在します。オピニオンリーダーのブログはトラックバックやコメントが多く、口コミ(おすすめ)の発端となったり、口コミをさらに加速させる力をもっており、味方につけば、無料で宣伝してくれる強力な仲間ですし、敵にまわしてしまえば「炎上」の引き金をもなりかねません。CGMをマーケティングに活用しようとする際には無視できない存在です。
CGMをマーケティングに活用しようと考える場合、このオピニオンリーダーにいかに協力してもらうかが1つのポイントではあるのですが、彼らは企業の宣伝文句に踊らされない独自の視点を持っているところも人気の理由でもあり、それをコントロールすることは難しいと言えます。
ただ1つ言えることは、オピニオンリーダーの方たちが、その商品やサービスがきちんと理解できるように、詳細で正確な情報をブログやSNSでリンク参照しやすい形(パーマネントリンクなど)で配信するべきでしょう。
自らが人気ブロガーになる
オピニオンリーダーが味方についてくれないからといって、それを利用することをあきらめるこはありません。PRしたい商品やサービスの担当者や社長自らがオピニオンリーダーとなり、他のユーザーへ影響力を与えていく方法もあります。
人気ブログに成長することは、容易ことではありませんが、いくつかの傾向があります。
- 作者のキャラクターが立っているもの(独自の情報や意見を持っている)
- 説明が細かくて丁寧なもの(1回の更新は短くてもいい)
- 更新が頻繁なもの(情報のキャッチが早いもの)
- 参照する情報の取捨選択が上手なもの
これらは特に当たり前のようなことにも見えますが、基本をしっかり押さえて消費者から信頼されることが大事なのではないかと思います。
ネット時代の新潮流――CGMとは バックナンバー
第3回:口コミがマスコミを超える日
第4回:「のまネコ」「やわらか戦車」に見るCGMビジネスのリスクとチャンス
第6回:なぜ起こる? 「炎上」の力学
第7回:“ネットの声”をお金にするには
伊地知晋一氏のプロフィール
ライブドア顧問兼ゼロスタートコミュニケーションズ専務取締役。
1996年、メール配信システムのシノックスの取締役として創業から参加。退職後、ユーティリティー系ソフトを販売するプロジーグループに入り、オンザエッヂ(現ライブドア)による買収と同時にオンザエッジに合流。
2002年、オンザエッヂの旧ライブドア買収に伴い、無料プロバイダー・ライブドアの責任者として運営に当たる。2003年、ポータルタルサイト ライブドア立ち上げ。同時にスタートしたブログが国内最大のサービスに成長した。このほか、約2年半で50以上のネットサービスを立ち上げる。
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