オフィスでの共同作業、5つの仕掛け
コクヨオフィスシステムがリニューアルした新オフィスは、オフィスでの共同作業を大きなテーマとしている。共同作業といっても様々なタイプがあるため、それに合わせた何種類ものスペース作りを行っているのだ。
会社に来る理由の1つは、共同作業を行うことにあるだろう。一口にオフィスでの共同作業といっても、ブレインストーミング、新入社員への指導、社外の人とのカジュアルな打ち合わせなど、さまざまな形態がある。それぞれに対応するオフィスの形をコクヨオフィスシステムが考えた。
コクヨオフィスシステムは東京・霞が関にある。このたび、約400人が働いている2700平方メートル(820坪)の本社オフィスを1億5千万円かけてリニューアルした。オフィスのテーマは「Resonance Field(レゾナンス・フィールド)」。オフィスは社員が共鳴(レゾナンス)する競技場(フィールド)であるという考え方だ。
コクヨオフィスシステムは社員を大きく「ランナー(営業など社外にいることが多い人)」「ウォーカー(社内調整を主に行うため、社内での移動が多い人)」「シッター(アシスタントなど、個人作業が多く社内に座っていることが多い人)」の3種類に分類。シッターとウォーカーは固定席、ランナーはフリーアドレス制とした。
新入社員は“初心者マーク”席にどうぞ――「フレッシャーズシート」
フリーアドレス制の対象となる社員にとって、課題の1つが新人教育だった。新人からは「どこに座ってもよいと言われると、どこに座ってよいか分からず、いつも端に座っていた」という意見があり、上司や先輩の側からは「新人かどうか分からず、声をかけるのに躊躇してしまう」「新人のチューターになったが、どこにいるのか分からない」という声があったという。
そこで“初心者マーク”をつけた新人のための席「フレッシャーズシート」を用意した。この席に座っている人は新人なので、部署に関わらず気軽に声をかけ、必要な時にサポートできるわけだ。
“飛び入り歓迎”のブレストスペース――「戦略コラボ」
モニターやホワイトボード、書籍類を備え、企画会議やブレインストーミングに適したスペースが「戦略コラボ」だ。執務スペースに隣接しており、予約は不要ですぐに使える。周りからの見通しがよく、ミーティングに呼ばれているわけではない社員も「その問題については一言言っておきたい」という場合に気軽な参加を促す。
素材に触れて顧客のニーズを考える――「アトリエ型コラボ」
営業職の社員の利用を主に想定した戦略コラボと違い、設計職の社員の利用を想定し、ものづくりにこだわる工房をイメージしたのが「アトリエ型コラボ」だ。オフィスの設計などを請け負うコクヨオフィスシステムでは、カーペットや木材、金属などの素材のサンプルが必要となる。サンプルスペースの隣に大きな天板のある作業スペースを用意し、サンプルに触れながら顧客のニーズを検討し「こういう提案でいこう」と判断する作業ができるようにした。こちらも執務スペースに隣接しており、社員は自由に利用できる。
オフィスの中心で新しいものを生み出す――「フラット」
オフィスの中心にあることで、部門間の交流を促進し、新しいものを生み出す効果を期待している場所が「フラット」。ここには社員が持つノウハウを収集・整理するコンシェルジェが常駐する。社員が今抱えている仕事に対して「過去に似た事例がないか」などの相談ができる存在だ。社員による事例の発表会もここで行う。
外部の人とのコラボレーションスペース――「ビジネスサロン」
外部の人が訪れるスペース「ビジネスサロン」ではLANケーブルがあればネットにつなげるほか、PCや文房具の貸し出しもしている。外部からコクヨオフィスシステムを訪れた人はここで一仕事済ませて直帰することも可能だ。ここで来客にお酒をふるまうこともあるという。
インフォーマルなコミュニケーションを――「ロッカールーム」
フリーアドレス制のため、営業職の社員には荷物を置いておくためのロッカーが必要になる。ロッカーを分散させずに1カ所に集めたり、PCを開いてちょっとした作業ができるソファーを置くことで、社員同士のインフォーマルなコミュニケーションを促進している。
ここはオンとオフの切り替えをする場所なので、ドアの色にも一工夫している。中から外へ出るときに見るドアの内側は闘志が湧くように赤い色、外から中へ帰ってくるときに見る外側は気持ちが落ち着く緑色になっているのだ。
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