ルーチンワークを加速させるには?【解決編】:シゴトハック研究所
時間を無駄なく使うにはタイマーを使う方法が有用です。しかしタイマーをセットするには、仕事の所用時間を把握していなければなりません。自分の「マイペース」と「ハイペース」それぞれの所用時間を知る方法を紹介します。
今回の課題
ルーチンワークを加速させるには?
コツ:作業時間を計測し、最短時間に合わせる
前回はタイマーを使うことで、時間を無駄なく使うための方法をご紹介しました(仕事のためのタイマーの選び方はこちら)。
タイマーをセットできるということは、次の条件を満たしていることになります。
- 目の前の仕事の所要時間(=見通し)を具体的な数字で把握している
この条件が満たされていなければ、タイマーを仕事に活かすことはできません。さらに、タイマーのカウントダウンが始まれば、刻々と時間が過ぎていくのを目の当たりにできますから、いやが上にも仕事のスピードを上げざるを得なくなります。
もちろん、タイマーをセットしてもしなくても「時間が刻々と過ぎていっている」という現実は変わりません。でも、タイマーをセットすることによって、「自分が持っている時間資源」という大切なものが減っていく感覚が生まれるのです。
こうして、仕事のスピードをアップさせることができるのですが、今回はタイマーによるカウントダウンではなく、ストップウォッチによるカウントアップを駆使して、仕事のスピードをアップさせる方法を考えてみます。
「マイペース」と「ハイペース」を知る
こちらの書評でも取り上げた『快ペース仕事術』という本に、新しい技術を習得するための次のような方法が紹介されています。
- 初めのうちは失敗に頓着せずに繰り返す(失敗のバラエティに富んでいるほどいい)
- そこそこのレベルに達し始めたら、成功を強く志向する
- よりスピーディーに、より正確さを期して、繰り返す
この具体例として挙げられているのが、「過去に使った文書のファイリング」という単純作業です。この作業を3回繰り返し、かかった時間を毎回ストップウォッチで計測し、以下のような結果が得られたとします。
- 第1回 100分
- 第2回 60分
- 第3回 50分
この場合、3回の合計時間は210分ですから平均すると70分かかることが分かります。この時間はマイペースでファイリングした場合にかかる時間ということになります。
また、最速の場合は50分でできていますから、やろうとすれば50分でも不可能ではない、ということがこのデータから読み取れます。このペースは、「マイペース」に対して「ハイペース」と呼ばれます。
この違いを知った上で、今度は最速の「50分」を目標にして再びファイリング作業を繰り返します。そして、次のような結果が得られたとします。
- 第1回 55分
- 第2回 60分
- 第3回 40分
前回よりも明らかにスピードアップが実現していることが分かります。もちろん、ペースが速くなった分だけ、マイペースで行った時には発生しなかったミスに見舞われるかもしれません。そうなったら目標を少し引き下げて、例えば「60分」にして取り組んでみます。
このように、計測とレビューと目標設定のセットを繰り返していくことで、自然と「時間がかかるやり方」や「ミスの多いやり方」を排除するようになり、効率アップとクオリティアップが同時に実現できるようになります。
カギとなるのは、「今」の記録です。常に最新の「今」を知り、過去の「今」と比べることで、未来の「今」である目標を設定し、これに近づくための行動をとるのです。
何となく続けていたのでは常に「今」があるだけで、それを時間軸の中で客観的に捉えることができなくなってしまい、結果として行動は現状維持にとどまってしまうでしょう。
マイペースとハイペースとの間にギャップがあることを知れば、このギャップを無理のない範囲で埋めるという目に見える努力目標ができますから、現状を維持しつつスピードアップのらせん階段を上っていくことができるのです。
“失敗試行”で“成功志向”
自分史上最高のスピードで取り組めば、ミスが増え、その修正の時間が余計にかかって結果としてはあまり変わらないか、かえって時間が多くかかってしまうこともあるでしょう。
でも、失敗を重ねていくことで次の2つの事実に気づく機会が得られます。
- どうすれば失敗するのか(失敗パターン)
- 失敗の中のわずかな成功(成功の兆し)
つまり、短時間でより多くの失敗を被ることができれば、その分だけ失敗パターンを経験できますから、“地雷”が除去されていき、残ったパターンは安全な成功パターンということになります。また、全体としては失敗だったとしても、断片的にはうまくいくこともある、ということがわかれば、これを成功の兆しとして捉えて、行動を変えるきっかけにもできるでしょう。
以上、ご紹介した方法は、状況や条件があまり変化しない、定期的に繰り返し行うルーチンワークに特に有効です。
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