最終回 決算処理を比較する:パソコン好きが青色申告を体験してみると?(7/7 ページ)
税金のキソから節税、各青色申告ソフトのインストール、さらに各ソフトへの伝票入力と進んできた今回の短期集中連載。最終回は入力したデータを元に、申告のために必要な決算処理の出来を見ていこう。
e-Taxってどう?
国税電子申告・納税システム(e-Tax)が巷で話題となっている。普及率は2006年度(平成18年度)でたった2%。今後は、19年度3%、20年度8%、21年度22%、22年度50%と急激な普及を狙っているようだ。そこで利用促進のためのインセンティブとして、今年と来年は5000円分、税金を割引してくれる。
だがネットで調べると、どちらかというと不満の声が多いようだ。電子申告には電子証明書が必要で、それを読み込ませるのに約3000円のICカードリーダライターが必要となる。個人が使う電子証明書は住基ネットカードだが、カードの発行に加え、有料かつ期限付きの証明書で1000円がかかる。役所に行く交通費や時間を加味すると赤字になるとの声が多い。
筆者は3年前にETCを使い始めた。記憶が薄れているが、当時はポイントバックで機器代が無料になり、週末はポイント3倍キャンペーンなど大盤振る舞いをしていたので、実質半額で高速利用できたと記憶している。現在でも通勤割引など金額のメリットもあるし、出口渋滞など時間のメリットもある。ETCの利用率(PDF)は現在7割を超えている。グラフを見ると大盤振る舞いした時期は一気に倍増しているので効果はあったのだろう。
正直いって現在のe-Taxは、年に1回の申告では利用者に多大なメリットがあるとは思えない。紙で提出されるよりデータで提出されたほうが、税務署もメリットは多いと思われる。だとすれば自動車保険のネット契約のように毎回数千円の割引きになるとか、導入に手間をかけるだけの利用メリットがほしいものだ。今後の利用率次第で、もう一段のインセンティブがあるかもしれない。筆者としてはもう少し静観しようと思ってる。
何を重視し、どれを選ぶか
3社の青色申告をインストールから確定申告書の印刷まで試してみた。価格、サポート体制、筆者が使ってみた印象、実際にサポートに問い合わせを行った印象などを星印で評価してみたい。
「やよいの青色申告08」 | 「みんなの青色申告9」 | 「やるぞ!青色申告2008」 | |
---|---|---|---|
購入価格 | ★★★ | ★★★★★ | ★★★ |
無償サポート期間 | ★★ | ★★ | ★★★★★ |
有償サポート料金 | ★ | ★★★★ | ★★★★★ |
初期設定のしやすさ | ★★★★★ | ★★★★ | ★★ |
伝票入力 | ★★★★★ | ★★★★ | ★★★ |
ヘルプ機能 | ★★★★★ | ★★★ | ★★ |
決算処理 | ★★★★ | ★★ | ★★★ |
初心者に親切 | ★★★★ | ★★★ | ★★ |
サポート対応 | ★★★ | ★★★ | ★★★★ |
価格を重視するか、サポートを重視するか、簿記の知識があるかなどにより選択基準は異なるだろう。どのソフトを購入しても、最終的な申告にはたどり着けるはずだ。自分に合う製品を選ぶ参考にしていただきたい。
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