部内の残業が減りません:岩崎部長、教えてください!
もともと裁量労働制の部署で、労働時間は比較的ルーズになりがち。でも長時間働いたからといって、いいものができるとは限りません。時間当たりの生産性を高めたいと思っておりますが、いわゆる仕事術的な方法論まで掘り下げて部下を指導すべきなのでしょうか。
残業――。定時に帰りたいのに帰れないビジネスパーソンは少なくありません。現場も管理職も残業を減らしたいという会社であっても、なかなか減らないのが現状のようです。
そんな残業についての質問に答えるのは、GMOメディアの取締役でコミュニティ事業部の岩崎綾(いわさき・あや)事業部長。相談者は、管理職として残業にどうやって向き合っているのでしょうか。
部内の残業が減りません(男性、36歳、企画、課長)
部内の労働時間について相談させてください。もともと裁量労働制の部署で、労働時間は比較的ルーズになりがちでした。ですが、長時間働いたからといって、いいものができるとは限りません。
課を束ねる私としても、時間当たりの生産性を高めたいと思っておりますが、「速く仕事しろ」といくら言っても、これまでは残業時間が減るわけではありませんでした。
また、納期の問題から、生産性を高めないまま残業時間を削減することも難しいです。いわゆる仕事術的な方法論まで掘り下げて指導・管理すべきなのでしょうか。
仕事術まで掘り下げるべきですが、その後の判断も難しい
相談者の悩みは、恐らく「たくさん働いたからといっても、いいものはできないし、仕事の時間を短くしろと言ってもたぶん部下たちはできない」という状況なのでしょう。それで堂々巡りが続いている。にっちもさっちも行かなくなっているのであれば、仕事術的な方法論まで掘り下げて指導するべきかもしれません。
ただ、本当の問題はその次です。もし方法論を1から10まで教えて、仕事の効率が高まったとして、上司であるあなたはどうしますか? 業績をさらに上げようと、効率の高まった部下たちに仕事をどんどん渡していくのか、それともある程度で部下を帰らすのか、実際にはそうした判断のほうが難しいのではないでしょうか。
多くのベンチャー企業の場合、右肩上がりで業績を上げたいと思っています。今年より来年の業績のほうが20%増加しているという“予想”です。でも本当に、毎年毎年1.2倍も増やせるのでしょうか。ところが必ずしもそんなことはありません。もし増やせるのだとしたら、10年間で3倍くらいの業績になりますが、それは眠る時間を削らないと無理そうです。
とはいえ、上司から「キミのところの部署は、残業多くて人が辞めすぎだね」とダメ出しされるのも違います。そういう意味では、残業しないように効率を上げることは重要です。
中間管理職であるなら、現場だけの視点ではなく、会社の考えも知るべきでしょう。具体的には、会社の業績に対する考え方と、自分たちの効率化の上昇率、昇給スパンの交差する点を考えること。20%増で頑張っても、いつまでも同じように昇給が続くわけではありませんし、部下をいつ休ませるのか考えないとお互い疲弊します。というわけで、叱咤激励しながら部下と接するほかないのですが、難しいですね。
今回答えてくれた部長さん 岩崎綾(いわさき・あや)さん
GMOメディア取締役コミュニティ事業部部長。東京都出身。1995年、ソフトバンクに入社し、IT雑誌の編集に従事。2000年、インプレスに入社。IT系ムック雑誌編集、Webニュースサイト編集に携わる。2006年、ブログ事業「ヤプログ!」の事業責任者としてGMOインターネットに入社。ヤプログ!事業移管に伴い、GMOメディアに転籍。現在は、コミュニティサイト「freeml」、日記サイト「さるさる日記」、無料ホームページサービス「プリキャン革命」事業を担当。10歳男児の母。
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