肴はレインボーブリッジ!? 仕事中に立ち寄れる“せんべろ居酒屋”:心も満たすユニーク社食
美しいレインボーブリッジの夜景を肴(さかな)に、飲んで楽しんで1000円ポッキリ。そんな夢のような居酒屋が、システムインテグレーターTISのパブだ。店は月曜夜から大盛況。人気を支えるものとは――?
夜空の暗闇に、レインボーブリッジが宝石のようにきらめいている――。窓のキャンパスに描かれた夜景にうっとりしていると、すぐそばでビールジョッキ同士が鳴る音や、「かんぱーい!」という威勢のいい掛け声が。ハッと我に返った。
この眺めは、東京・竹芝にあるシステムインテグレーターTISの本社ビル内パブからのものだ。ユニーク社食特集も終盤。今回は“極上の肴(さかな)”、レインボーブリッジを無料で味わえる上、予算1000円で楽しめるという、なんとも“おいしい”TISのパブを紹介しよう。
社名 | 創立 | 事業内容 | 従業員数 |
---|---|---|---|
TIS | 1971年4月28日 | システムインテグレーター | 2757人(2008年3月31日現在) |
仕事中、手ぶらでふらっと立ち寄れる
取材に訪れたのは月曜の夜。週明けにもかかわらず全100席のパブは9割近く埋まっていた。驚いて人気の理由を尋ねると、TISの福島正行さん(総務部)は、「気軽に飲めるから」と即答。「気軽さ」とは何だろうか。
まず、アクセスしやすい店の立地。当たり前だが、社内にあるからエレベーター移動で済む。そのため「仕事を中抜けして飲み、仕事に戻っていく人もいる」(福島さん)という。
身軽な格好で立ち寄れるのも理由の1つだ。雨天でも傘をささなくていいし、精算は、クレジットカードを兼ねたIDカードでするから、財布も持たなくていい。中抜けの場合は、カバンやコートも要らないから、手ぶらで済むのだ。
また、本社から徒歩1分の竹芝駅周辺には外食店が少ないから、“集客”には有利だという。
1000円で十分楽しめる
何といってもメニューが持つ3つの魅力が、月曜から足を運ぶほど社員たちを引き付けている。まず「下手な外食店よりおいしい」と評判の味。以前取り上げた博報堂同様、おいしさは人を引き寄せる。次に豊富さ。ソフトクリームから寿司までそろう。さらに、「今日のメニュー」「今日のなべ」「ご当地フェア」など期間限定メニューも用意し、飽きが来ないよう工夫している。
酒類も先日の協和エクシオ同様、ボトルキープが可能だ。また、独自の「TIS」ラベルや、レインボーブリッジのレリーフをあしらったボトルを作っている。
3つ目が価格の安さだ。「1杯目のグラスビールは100円」と笑うのは、グループ企業のITホールディングス広報部の浄土寺仁(じょうどじ・ひとし)さん。「1000円あれば楽しめる」。福島さんと浄土寺さんはそう口をそろえる。
「社内では飲みづらい」から「社内でも楽しく飲める」へ
向かい側のテーブルでは、若手や中堅社員のグループが歓迎会の真っ最中だった。デジカメを手に盛り上がっている。別のテーブルに目を移すと、中堅社員4人が熱く語り合っている様子。奥のテーブルには社長の姿も見える。
だが全体的にあまり利用されず、「利用しても年配社員ばかりの時期もあった」と福島さん。東京・東陽町に本社があったころだ。今のパブは2001年1月に社屋を竹芝に移転した際、リニューアルオープンした。
東陽町時代には、「社内で飲む気にはなれない」という若手社員たちの声が聞こえてきたという。メニューは寿司など高価格帯のものが多かったり、内装の雰囲気もパッとしなかった。
そこでリニューアルにあたり、運営を委託している東京ケータリングと一緒に、価格の安い若者向けのメニューを増やしたり、リラックス効果のため間接照明を取り入れたり、ボジョレーヌーボー解禁フェアなどを開催したりと、さまざまな仕掛けをし、今の「若手社員も楽しめるパブ」を創り上げたのだ。今後も利用者を増やし、社内コミュニケーションの輪を広げていくという。なお、社食運営会社によるメニューの工夫については、次回の記事で詳しくお伝えしよう。
「1000円でべろべろになるまで酔える居酒屋」を“せんべろ”と呼んだ作家の故中島らもさんは、安い立ち飲み屋に通ったという。人によっては1000円でべろべろに酔うこともできるTISのパブは、ちゃんと座れてじっくり“ノミュニケーション”がとれる上、美しい夜景まで付いた贅沢(ぜいたく)な“せんべろ居酒屋”なのだ。
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