こんな人なら節税できる(前編):個人事業主もサラリーマンも読める「税金の話」(2/3 ページ)
個人事業主もサラリーマンも読める「税金の話」。第2回は主に住民税と節税について考えてみたい。「自分には関係ない」と思っているそこのあなた、損しているかもしれませんよ?
住民税の「例外」
冒頭で「住民税は基本的には全国一律」と書いたが、「基本的に」という部分は、一部に例外があるということだ。筆者が住む愛知県の場合「あいち森と緑づくり税」があり、県民税の均等割1000円に500円が上乗せされて1500円となっている。全国で30県ほど似たような税が課税されている。筆者が調べた中で一番高いのは岩手県「いわての森林づくり県民税」、福島県「森林環境税」、山形県「やまがた緑環境税」、茨城県「茨城県森林湖沼環境税」の1000円。一番低いのが静岡県「森林づくり県民税」の400円で、その他多くの県は500円となっている。正確には住民税ではないが、住民税と一緒に徴収されるので、対象となる県に住んでいるサラリーマンの場合は毎月の給料から住民税として天引きされている。
ほかには名古屋市の市民税10%削減(均等割も3000円→2700円)や、夕張市の市民税均等割3000円→3500円、所得割6.0%→6.5%などがあるが、どちらも例外中の例外と言えるだろう。試しに先ほどの例で計算してみると
名古屋市の場合
- 市民税=4,265,000×5.4%−1,500+2,700=231,500(100円未満切り捨て)
- 県民税=169,600+1,500(あいち森と緑づくり税を含む)=171,100
- 合計=402,600円
夕張市の場合
- 市民税=4,265,000×6.5%−1,500+3,500=279,200(100円未満切り捨て)
- 県民税=169,600+1,000=170,600
- 合計=449,800
となり、名古屋市に住めば住民税は25,400円少なくなり、夕張市に住めば21,800円増えることになる。これを理由に転居するかは人それぞれだが、当然課税所得が低ければ差額も小さくなるし、税制は一生の間に変わるものなのだと言うことも頭に入れておく必要はあるだろう。
事業税
個人事業主は所得税、住民税に加え事業税が課せられる。事業税は職種により税率が3〜5%と異なる。ちなみに3%となるのはあん摩・マッサージ・指圧・はり・きゅう・柔道整復など医業に類する事業及び馬の蹄の装蹄師業となっているが、理由は分からない。その他多くの職種は5%だ。事業税は課税所得ではなく、各種控除を引く前の所得から、事業主控除額(290万円)を引いた額に対して3〜5%が掛けられる。
- (所得−290万円)×5%
先ほどの所得600万円の場合だと、以下のようになる。
- (600万円−290万円)×5%=15万5000円
サラリーマンでも節税できる?
世の中のためには、より多く納税することは悪くないが、個人としては収める税金は少ない方がうれしい。と言うことで節税について考えてみたい。ここまでの例で所得税、住民税を計算すると、所得が600万円、所得税の各種控除が190万円、住民税の各種控除が173.5万円、それぞれの税額は
- 所得税=39万2500円
- 住民税=42万8000円
- 合計=82万500円(個人事業主は事業税15万5000円を加え97万5500円)
となる。多いと思うか少ないと思うかは人それぞれだが、多くの方はうれしくない金額だろう。そこで節税を考えるわけだ。納める税金を減らすには課税所得を減らせばいい。前にも書いたとおり、課税所得は
個人事業主の場合
- 売上(収入)−経費=所得
- 所得−各種控除=課税所得
サラリーマンの場合
- 給与の収入金額(年収)−給与所得控除=給与所得
- 給与所得−各種控除=課税所得
となっている。式が単純なので、節税の方法も単純だ。
個人事業主の場合は3つ。
- 売上(収入)を減らす
- 経費を増やす
- 各種控除を増やす
サラリーマンの場合は給与所得控除はコントロールできないので、
- 給与(年収)を減らす
- 各種控除を増やす
となる。売上、給与を減らせば、確かに税金も減るが、それでは全然うれしくないので本末転倒だろう。となると個人事業主は経費と控除が節税の対象となる。サラリーマンは控除を増やすしかない。
正直言ってサラリーマンは控除を増やそうと思っても、現実には難しい。とはいえ、以降で書く特定の条件にある人ならば、確定申告によってだいぶ変わってくる場合がある。
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