山積みの書類を一掃する「何でも日付ファイリング術」:年末デスク整理術
もしあなたのデスクが資料の山積みになっている場合は、資料を日付でファイリングする方法を試してみてください。用意するものは、日付スタンプとファイルのみ。机の上の書類の山を一掃しましょう。
前回の記事「書類は寝かすな!」という定説を道具面から考える」で「書類を立てて整理する」ことの効用を書きました。ですが仕事ができる先輩や上司ほど、机の上が書類の山だったりしませんか?
これについては謎が多いのですが、要は仕事モードのスイッチが入っている人は、仕事に対する意識が行き届いており、どの書類がどこにあるのかについて、何となく見当がついているのでしょう。仕事の体内時計が正確であり、自分の中で時間軸をきっちり整理しているのです。
つまり、仕事の時間軸をきちんと管理できれば、「できる先輩」のように仕事をガンガン進められるのではないか? こう考えた私は、あることを始めてから机の上に書類の山ができなくなりました。今回はそのコツを紹介します。
名刺も書類も一般資料も全部同じやり方
はじめに断っておきますが、私自身はかなりズボラな性格です。後回しにするのが大好きであり、バリバリ仕事するタイプとはかけ離れた存在です。そんな私が紹介する資料整理術ですから、誰でもできます。ご安心下さい。
その整理術とは「通常の書類からもらった資料まで、全部同じように管理する」というもの。実は名刺の管理から着想を得たもので、日付が押せるスタンプと適当なファイルを何枚か用意するだけでできるのです。
多くの方が実践する名刺管理の基本から……
「名刺交換をしたら、その日付と相手の特徴、会話の内容をメモせよ」。ビジネスマナーの基本であり、名刺の仕事もしている私も「その通り」と言いたいところ。しかし当の本人は、相手の特徴も会話の内容もあまりメモできていません。だって面倒だから。
ただ、日付はほぼ100%入れています。これも手書きするのは面倒なので、スタンプ台のいらない日付印を買って、それを押しています。ハンコをポンポン押す作業って、ちょっと楽しくないですか? その楽しさもあって難なく続けられています(私だけかもしれませんが……)。
ファイリング方法は、1冊の名刺ホルダーにどんどん差し込むだけ。日付印による時間軸だけがビシっとそろっている状態です。ちなみに以前は業界や用途別に分けて整理していましたが、今では全部ごっちゃになりました。名刺ホルダーのタイトルは「100215〜100528」という期間情報のみになっています。
実はここがミソなのです。
時間軸は完璧に手帳と連動している!
日付だけの付加情報(タグ付け)でどこまで名刺を管理できるのかについて、結論から言うと「十分」です。なぜなら、日付にひも付いた情報――誰と、どこで会い、何を話したか――は手帳やスケジューラーを見れば分かるからです。日付を基にスケジュールと名刺ホルダーを見れば、その時に何をやっていたかは一目瞭然(りょうぜん)です。
私は自身で「名刺の専門家」と名乗っていますが、今どきの名刺管理ソフトウェアは使っていません。意外かもしれませんが、そのたぐいのツールは自分もしくは会社において、整理における何かしらの臨界点を超えた時に利用すればいいと考えています。
判断のつかない書類は日付を押してファイル
この方法を書類や資料のファイリングにも応用するのです。
書類が山積みになる主要因は「とりあえずどこにファイルすればいいか分からないから、今だけ積んでおく」という考えから来るものです。そして山積みにする書類は、直近で必要な契約書や納期の迫った仕入れ先の注文書ではないはずです。
つまり、山の中身は「そう重要ではないけれど、いつか必要になりそうな書類」なのです。そして「今はまだ必要じゃないから置いておく」という状態が書類の山を作っているのでしょう。いざ資料が必要になった時に「あれ、どのあたりに挟んだっけ? 確かこの山だったと思うのだけど……」とかなりの時間を掛けて調べる羽目になるのです。
もしあなたが書類探しに時間を割いているのであれば、「書類を手にした瞬間に日付印を押す習慣」を身につけてもらいたいのです。
日付順に並ぶことのメリット
あとは簡単です。日付を押した書類をあらかじめ用意したファイルに、どんどんと順番に挟み込んでいきます。好きなやり方でファイリングしてみてください。A4のポケットファイルを束ねたものでもいいですし、レバー式のものにジャカジャカ挟んでもOKです。
唯一のルールは「とにかく日付だけ順番にする」こと。たったこれだけのことですが、この書類整理では以下のようなメリットが得られます。
- 資料に日付が入っているため、手帳を開くといつどこでもらったものかが一目で分かる
- 初めて会った人にもらった資料でも、名刺ホルダーとの連動ですぐに連絡が取れる
- 同じ製品の資料がダブったときは、古い日付の資料を迷わず処分できる
これを定期的に整理して、このまま取っておくか、それとも捨てるかの判断をします。見直す期間は人によって別で構いません。「とりあえずとじておくファイル」は仮のもので、一定期間保存して使わないと判断したら捨てましょう。時間が経っても「これは必要」と思った書類は、本番の「資料ファイル」に収納するわけです。
もちろん本番ファイルも「日付順」で管理してください。そうすることで、手帳・名刺ファイルと資料のファイリングの連動がより強固になります。ちなみに、過去の資料を引っ張り出して、日付を思い出しながら整理するのは思いのほか難しいです。「思い立ったが吉日」ということで、今日の分の資料からファイリングを始めてみてはいかがでしょうか。ちょっとした工夫かもしれませんが、あなたのデスク周りの整理に役立ってくれるはずです。
著者プロフィール 高木芳紀
名刺アドバイザー(日本名刺協会理事)、小さな会社の応援団長。株式会社つばめやのウェブマスター。渋谷駅前の小さな老舗文具店「つばめや」で主にWeb通販を担当する「中の人(ちなみに平社員)」。文具活用のメルマガを書き続けるうちに名刺の専門家になってしまい、また自社で培った小さな会社がWebで戦っていくためのノウハウをブログで公開するうちに「小さな会社の応援団長」も襲名。全国200万社の中小零細企業の「同志」の背中を押し続ける「ちょっとしたモチベーター」でもある。現在は、本業のかたわらiPadを片手に各地のセミナーや勉強会の講師として奔走中。カミサンは知る人ぞ知るイラストレーター。双子のパパ。休日はジャズ・トランペッター。
著書に『従業員7人の「つばめや」が成功した たった1年で5000万円売上げを伸ばす仕組み』(青春出版社刊)『1秒で10倍稼ぐありえない名刺の作り方』(インフォトップ出版刊)がある。連絡先はboo@tsubameya.com、Twitterアカウントは「@omeishi」。
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