年末調整を理解すると増税が実感できる:年末調整で知る税金の話(2/4 ページ)
ちょっと遅くなってしまったが、年末調整の時期である。筆者もサラリーマン時代に年末調整の紙に記入・提出したが、その間はほぼ意味不明だったが独立して自分で確定申告をするようになり、必要に迫られて税金の知識を得て、今さらではあるが年末調整の意味を知った。年末調整の書き方と意味を知ることで税金の基礎的な部分を理解してほしい。
生命保険料控除
サラリーマンの方は手元に「平成23年分 給与所得者の保険料等控除申告書 兼 配偶者特別控除申告書」「平成24年分 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」と書かれた2枚の紙が配られ、自宅には生命保険会社から「平成23年分 生命保険料控除証明書」も送付されているはずだ。
では実際に年末調整の記入を行ってみよう。まずは比較的簡単に記入できる「平成23年分 給与所得者の保険料等控除申告書 兼 配偶者特別控除申告書」だ。記入するには生命保険会社から送られてきた「平成23年分 生命保険料控除証明書」が必要となる。
先ほどの年収400万円、独身、生命保険を年6万円払っている方の場合、名前、住所に加え一般の生命保険料の欄に記入する。保険会社から送られてきた「平成23年分 生命保険料控除証明書」を見て記入、証明書は添付して提出する。
多くの証明書には8月か9月までの払込額(支払済み)と12月までの払込額(支払予定)を記載している。払い続けているなら12月までの払込額を記入する。
控除額の計算は計算式に沿って行う。6万円の場合、
- 60,000×1/4+25,000=40,000(円)
となる。多くの独身の方はこの程度の記入で完成だ。もし将来に備えて個人年金保険に加入していたり、すでに持ち家があり地震保険を掛けている方は、他の欄も記入する必要がある。
次は年収600万円、専業主婦の奥さんと高校生、大学生の子どもがいる場合だ。奥さんが働いていない場合は独身の方と同じく、名前、住所と生命保険料を記入するだけだ。自分の保険、奥さんの保険、子どもの学資保険など、複数の保険に加入している方は、合計額が10万円を越えるように記入する。
10万円の保険料で控除の上限の5万円となるので、それ以上は記入する必要はない。筆者は23年のサラリーマン生活の20年くらいはこのことを理解せず、余分に何枚も記入、添付をして提出していた。こちらも個人年金保険に加入していたり、地震保険を掛けている場合は他の欄も記入する必要がある。
生命保険料控除は来年から制度が変わる。平成24年1月以降に契約した保険の場合、医療保険、介護保険が別枠の控除対象だ。従来は医療保険、介護保険を含む一般の生命保険で5万円の控除、個人年金保険で5万円の控除だったが、来年以降に契約した保険は一般の生命保険で4万円、医療保険、介護保険で4万円、個人年金保険で4万円となる。
例えば死亡保障系の一般の生命保険で8万円、入院給付金がもらえる医療保険で8万円を支払っている場合、今年の契約なら合計16万円の保険料で5万円の控除となるが、来年契約すれば4万円+4万円で8万円の控除となる。保険の内容、金額によって損得が発生するので生命保険の新規契約、掛け替えを考えている方はいつ契約するかも考慮する必要がある。現在契約している生命保険の控除は従来通りの控除が継続される。
控除 | 平成23年までの契約 | 平成24年以降の契約 |
---|---|---|
一般の生命保険料控除 | 5万円 | 4万円 |
医療保険、介護保険料控除 | 上記に含む | 4万円 |
個人年金保険料控除 | 5万円 | 4万円 |
合計 | 10万円 | 12万円 |
配偶者特別控除
もし奥さんがパートで毎月10万円くらい稼いでいる場合は配偶者特別控除申告書の欄も記入しよう。目安となる奥さんの収入は年間103万円だ。年収が103万円を越え141万円未満の場合は配偶者特別控除を申告する。奥さんの収入から65万円を引いた所得金額を早見表と照らし合わせれば控除額を算出することが可能だ。
例えば年間の収入が120万円の奥さんは65万円を引いた55万円が所得金額となる。早見表を見ると控除額は21万円。専業主婦の奥さんが受けられる配偶者控除の38万円よりは控除額が減っていることが分かる。奥さんが働くことで旦那さんの税金が少し増えるという仕組みだ。
配偶者特別控除の最上段の「あなたの本年中の合計所得金額の見積額」は収入から給与所得控除を引いた給与所得を記入する。年収や給与所得控除額がわかなりという方も多いと思うので、年収1200万円以下の方は空欄のままでも大丈夫だろう。
それ以外の欄は多くの方は記入する必要がないだろう。もし20歳を越えた大学生の国民年金を親は支払っている場合は社会保険料控除の欄に記入し、証明書を添付して提出する。
これで「平成23年分 給与所得者の保険料等控除申告書 兼 配偶者特別控除申告書」の記入は終了だ。
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