サラリーマンも個人事業主も――節税するならここがポイント:イチから分かる確定申告(1/3 ページ)
税金は「収入の多い人はたくさん納めている」「家族がいると控除が増えて減る」という構図が見えてきた。ではどうすれば効率的に「節税」できるのだろうか。考えてみよう。
前回、前々回までで、所得税や住民税の概要は何となく理解できたであろうか。
「収入の多い人は税金をたくさん納めている」「家族がいると控除が増えて税金が減る」という構図が見えてきたと思う。おそらく多くの人は納める税金を少なくしたいであろう。筆者は「お金持ちなど他人様はたくさん納税して国の借金を減らして、自分の納税額はできるだけ少なくなるといいなあ」と身勝手なことを考えている。そんなわけで、今回は節税の話をしよう。
サラリーマンが節税するには
まずサラリーマンの課税の仕組みをおさらいしよう。
- 給与の収入金額(年収)−給与所得控除−各種控除=課税所得
となっている。給与所得控除は一定の計算式で決まるので税金を減らすためには
- 給与(年収)を減らす
- 各種控除を増やす
の2つだ。年収が減れば税金も減るが、それは誰も望まないので答えは1つ、(2)の「控除を増やす」に尽きる。まず、現在進行形の確定申告は平成22年の納税額を確定するものなので、昨年払いすぎた税金を取り戻せる可能性がある。可能が一番高いのは医療費控除だ。もし年末調整の提出後に結婚、あるいは出産などがあれば配偶者控除、扶養控除も可能性がある。住宅ローン控除なども忘れていれば即行動を起こそう。
去年、医療費を払った? 住宅ローンを組んだ? 結婚した?
医療費控除は家族のために支払った年間の医療費が10万円を越えた場合、確定申告すれば、超えた金額が控除の対象だ。ただし、生命保険の入院給付金や高額療養費で補填された分は差し引かれる。例えば、家族の医療費が例年は年間合計9万円だったとしよう。誰かが10日間入院して12万円の医療費を払うと合計21万円となり、11万円が控除の対象となる。
ところが、もし生命保険会社から入院給付金(初日から支給)が日額1万円支給されると、10日間で10万円となり、控除の対象は11万円から10万円を引いた1万円となってしまう。課税所得額によるが還付される税金は1〜3000円程度となる。これくらいにの金額だと忙しいサラリーマンの場合は微妙だろう。普段から税金や税務署に無縁のサラリーマンには悩ましい選択だ。もし医療費が10万円を越えている場合は、源泉徴収票から課税所得額を計算し、いくら還付されるか計算して判断するしかない。
配偶者控除、扶養控除は38万円(住民税は33万円)と額が大きいので万単位の還付の可能性がある。もちろん、結婚前に奥さんが会社務めをしていて、それなりの収入があれば配偶者控除の対象にはならない。住宅ローン控除は説明すると長くなるので昨年(2010年)の記事を参考にしてほしい。
今年(2011年)以降にできる節税も考えてみよう。まずは結婚。もし家事手伝いの女性と結婚するなら年末までに籍を入れよう。これで配偶者控除の38万円をゲットできる。第1回の記事で書いたように、現行の仕組みでは早生まれは損をする。もし子作りを考えているなら12月までに生まれるようにしたい。それを過ぎたら夏まで我慢しよう。これはほとんど冗談のような制度で、普通の人が考えれば不公平と思う現行の仕組みが、十数年も維持されるのかは疑問だ。この記事を読んだ、まともな政治家、まともな役人が是正することを期待しよう。
眼科のレーシック、歯科のインプラントなど自分の意志で受ける高額医療は税金を意識して受けることができる。たまたま家族の医療費が増え10万円ギリギリなら、その年にレーシックで30万円を支払えばまるまる医療費控除を受けられる。
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