増税は消費税だけじゃない。大増税時代の税金を理解しよう:大増税時代(5/6 ページ)
消費税率の引き上げをはじめ、増税の話題は今や定番となっている。そもそも自分はどんな税金をいくら払っているか? 重要な所得税や確定申告のことが理解できるように、税金の基本を解説する。
コラム:そろそろ確定申告の準備を
個人事業主の人は間もなく確定申告の時期となる。2012年の受付は2月16日から3月15日まで。特に2011年に開業して初めて確定申告をする人は、そろそろ準備を始めた方がいい。筆者が独立、開業したのは2006年。5年前、2007年の1月下旬ごろに青色申告のソフトを購入して作業を開始した記憶がある。確定申告関係の本も何冊か購入した。市販ソフトがあれば、それほど難しくはないが作業量はかなり多い。忙しい時期と重なると手が付けられなくなるので、初年度は早めに始めないと間に合わなくなる可能性もある。
まずは領収書の整理。手書きだった時代の名残で日付順に書いてある解説本が多いが、現代ではこれは間違い……かも。誠 Biz.IDの読者であればPCを使うはずなので、項目ごとに領収書をまとめよう。例えばガソリン代の領収書を1つ入力したら、後は数十行をコピー&ペーストする。日付と金額を修正するだけで入力できるので、一行一行ガソリン代、電気代と項目を入力していくより、かなり効率が良くなる。筆者のようにチマチマと仕事をしていても領収書の枚数は1000枚近くになる。ダイニングのテーブルに領収書を並べて、ある程度区分したら封筒に入れ、順番に入力している。
確定申告に関する市販ソフトは多々あるが、筆者が使用しているのは「やよいの青色申告」。初めて購入したときは、店頭で見比べて選んだような気がする。一度購入すると過去データを継承するには同じソフトを使い続ける必要がある。翌年、他のメーカーのソフトも試してみたいと思い、自腹で買うのは嫌だったので、当時の編集長に青色申告ソフトの比較記事を提案。メーカーに借りて3製品を使い、一番使いやすかったのが2007年に選んだやよいの青色申告だった。現在もまだ使い続けている(関連リンク:「イチから分かる確定申告」連載バックナンバー)。
自分自身は結果が出て満足だったのでそれで終わったつもりでいたが、記事が好評だったので現在の編集長からの依頼でこの時期に税金に関する原稿を書くようになった。おかげでこの時期はかなり忙しい。ここ数年は、3月の確定申告最終日に提出となっている。今年もヤバイ……。
住民税は時間差攻撃
ずっと以前に増税が決定し、2012年6月から増税分を納めるのが住民税だ。2010年の暮れに書いた年末調整の紙を思い出してほしい……といわれても思い出せない人も多いだろう。まず税金を納める時期を確認してみよう。
個人事業主の人は比較的分かりやすい。昨年1年間の売り上げ、経費、控除などを計算して税金を確定するのが確定申告。具体的には2011年の1月から12月のもうけを算出し、3月15日までに確定申告をして昨年1年間の所得税を納める。
そのもうけ具合(申告内容)が税務署から区役所などに回り、住民税のお知らせが届き6月以降に納税をする。納税方法は1年分(2011年分)をまとめて納めてもいいし、6月、8月、10月、1月に4分割して納めることもできる。
サラリーマンの場合、毎月給料の額に応じて所得税を天引きして12月の年末調整で微修正。12月の給料で1年間の所得税は納税済みとなる。年間を通じて払いすぎていると12月の給料で返ってくる。年末になると少し給料が増えている……と思ったことがあるだろう。住民税は次の年の6月から天引きが始まる。2011年分の住民税は2012年の6月から2013年の5月に納めることとなる。
あなたも負担している「子ども手当」
サラリーマンが2010年の年末の年末調整で提出した「平成23年分 給与所得者の扶養控除等異動申告書」に話はさかのぼる。この申告書の下段に住民税に関する事項という項目があり、平成8年1月2日以降に生まれた子供を記載したはずだ。これは平成23年(2011年)に15歳以下になる人、中学生以下が対象となる。
話題になった子ども手当は、中学生以下の子供を対象に子ども手当を支給するから見返りに増税をするという、良識のある人なら疑問に思うであろう政策だった。従来は子供がいると扶養控除により税金が少なくする仕組みだったが、2011年から中学生以下の子供に対する扶養控除が廃止になり、結果として所得税は2011年の1月から増税、住民税は時間差攻撃で今年2012年の6月から増税が始まる。
住民税の増税額は中学生以下の子供1人当たり年間3万3000円。毎月2750円ずつ、住民税がこっそり増えることになる。「6月には息子は高校生になっているんだけど……」と思っている方。納めるのは2011年分の税金なので、高校生になっていても2012年から増税となる。ちなみに高校生も、公立高校授業料無償化に伴い、その見返りとなる増税が時期を同じく始まっている。
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