後編 ポメラ「DM100」とiPad、FlashAirで、“ノートPCレスのワークスタイル”を試す:IT記者はポメラでノマドワーカーになれるか(5/5 ページ)
「写真編集が伴うITライター仕事にノートPCは必須! ポメラだけで原稿執筆はキビシイ」――。これがポメラ「DM25」を試用した筆者の結論だ。しかし、これで思考停止してしまうのは悔しい。そこで後編では、Bluetooth接続やFlashAirに対応する最上位モデル「DM100」を使い、改めて“ノートPCレス”での仕事に挑んだ。
写真編集はPhotoshop Touchで決まり? iPhotoでは荷が重い
写真を取り込んだら、今度は選別と編集だ。原稿の内容に沿うような写真をストックの中から選び、トリミングや明るさ調整を行う。また、写真の掲載順を分かりやすくするため、ファイルを「genkou-01.jpg」のようにリネームする必要もある。
ここで、フォトレタッチソフトの出番だ。ただ、結論から先にいうと、iOS向けの「iPhoto」には、筆者の望む機能がない。一番難しいのが、画像サイズ調整機能が不足している点だ。1000万画素級のデジタルカメラで撮影した写真のサイズは、3648×2736ピクセル。ファイルサイズも3〜4Mバイトほどある。いくらブロードバンドが普及したとはいえ、これをそのまま掲載するのは無理があり、縮小リサイズして使うのが普通だろう。
iPhotoでは写真のトリミングが非常に簡単なのだが、絶対的なピクセル数の指定ができない。例えば「1024×768ピクセルで保存する」といったことだ。アスペクト比を固定し、インフォメーション表示を切り替えれば、できなくはない。しかし、10数枚分の写真を編集する(しかも急いでいる)タイミングでは、いささか非現実的だ。
個人的にはもう1つ、画像の一部にぼかしやモザイクをかける機能がないのも難点だ。新製品の携帯電話などを撮影する場合、製品のシリアルナンバーや電話番号が書いてあるケースもある。トリミングで消せればいいが、それがダメならぼかしを入れることになる。
iPhotoのブラシ機能には「ぼかし」があるが、適用量を「多」にしても、数字や文字を読めなくするレベルにはできない。どちらかといえば、ソフトフォーカス的な感覚だ。
もちろん、App Storeにはモザイクかけに特化したアプリなどもある。それを使えばいいとは思うが、「それを探す手間があったらノートPCでPhotoshop使うよ」というのが本音である。
Androidでは、「Adobe Photoshop Touch」のタブレット向けバージョン(850円)を試した。こちらは、トリミング時にピクセル数を具体的に指定できるし、「ぼかし(ガウス)」機能を使えば、モザイクをかけるのとほぼ同等の効果が得られる。
また、画像一覧画面からファイルをリネームし、メールアプリなどに渡すことも可能だ。ワンストップで画像処理をこなせるアプリという意味においては、筆者のいまのところの結論は「Photoshop Touch一択」である。それでも、画像数百枚の中から写りの良い10数枚を探すという用途には、少々厳しい。
やはりIT記者には時期尚早? まだ見ぬ未知のアプリがあれば、あるいは……
DM100とタブレット、FlashAirを組み合わせた“ノートPCレスのワークスタイル”を検証してみたが、かなり駆け足気味の展開で、考えるべきことは他にもいろいろある。例えば、発表会の音声をICレコーダーで録音したときの後処理。登壇したプレゼンターが「100万台売れました」と言っても、1年で売れた数値なのか、シリーズ製品の累計数値なのかがメモだけでは分からず、音声で確認しなおすといったことがある。ICレコーダー単体でもこの音声は聞けるが、ノートPCに音声データをコピーし、該当部分をマウス操作によるシークで細かく探したほうがラクだ。
また、最終的に原稿が完成し、写真をすべて編集し終えたときには、Zipに圧縮してメール添付ファイルとして送りたいのが本音だ。iOSやAndroidではZipを扱うのもなにかと面倒。オンラインストレージやファイル送信サービスで共有するのもいいが、相手方がそのアカウントを持っているとは限らないので、メールが一番手っ取り早い。
これらを勘案すると、やっぱり「素直にノートPC使おう」というのが現実解になってしまう。特に写真の編集枚数が多い場合がそう。一方、文章の比重が高い記事で、写真は使っても1〜2枚ということであれば、現時点でもできるとは思う。
改めて実感したのが、やはりWindowsプラットフォームの底堅さ、そしてアプリの充実ぶりだ。複数アプリの同時起動・表示はもちろんのこと、iOSやAndroidがいくら破竹の勢いで伸びていても、アプリの機能にはまだまだ差がある。
ただ、目的のアプリさえそろえば、タブレットを中心とした原稿執筆スタイルは確立できるはずだ。不勉強な筆者が知らないだけで、もしかするとライター業に完全合致するアプリは登場しているのかもしれない。
今回は、いちIT系ライターという立場でDM100の使い勝手を試してみたが、読者のみなさんの中には、自分にあった活用法を見出している方も少なくないだろう。ぜひ、そんな方法があれば、教えていただきたい。
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