効果を最大化する“褒め方”の極意:田中淳子の人間関係に効く“サプリ”(1/2 ページ)
せっかく部下の仕事を褒めたのに、ポイントをはずして気まずい思いをしたことはないだろうか。今回は、こうした気まずさを避け、効果が最大化する“褒め方”のコツをご紹介しよう。
田中淳子の人間関係に効く“サプリ”:
職場のコミュニケーションに悩んでいる人も多いのではないでしょうか。「上司にこんなことを言ったら怒られるかもしれない」「部下には気をつかってしまうし」――。
本コラムでは、職場で役立つコミュニケーション術をご紹介します。具体例を挙げながら「なるほど! こういうやり方があるのか」「これなら自分でもできるかもしれない」と感じてもらえるよう、筆者が見聞きした出来事をちりばめています。
明日から……ではなく、いますぐに試すことができる「コミュニケーションのヒント」をご紹介しましょう。
ホームパーティに招かれ、数々の手料理に舌鼓を打つ。宴もたけなわになり、ホストやホステスに対して招待客が料理の感想を述べる。
「この“夏野菜のピクルス”、すんごく美味しいですね!」
「…………」
相手の顔が曇る。なぜだろう? と不思議に思っていると、ぼそっとひとこと。
「あ、ごめんなさい。それだけデパ地下で買ってきたものなの」
「あわあわあわ……」
こんな時の気まずさといったらない。ほかの料理も皆美味しいのだけれど、たまたま目の前にあったピクルスを褒めてみたら、よりによってそれだけが出来合いの惣菜を買ってきたものだったという事実。
こういう時は、下手に褒めるよりも先に作り手の説明を聴くほうが無難だ。
「これらの料理、どうやって作るんですか?」と、とにかく尋ねてしまう。
「ラタトゥイユは、野菜の水分だけで煮込んであるの」とか「ハンバーグの具には豆腐も入れたのでヘルシーなのよ」とか「このお肉は昨日から自家製のタレに漬けこんでいて味がしみているはず」とか「ピクルスだけはお気に入りのお店で買ってきたものなの。●●デパートの地下に入っているお店」などと一通りの解説を聴く。
その上で、「ほぉ、ラタトゥイユは、野菜の水分だけなのですか。じゃあ、野菜のエキスたっぷりですね」などと感想も述べれば、準備した側が頑張ったポイントに対してストライクなフィードバックを伝えることができる。
よもや、いきなり「ピクルス」を褒めてしまうという事態は招かずに済むわけだ。
この例に限らず、誰かの何かを褒めようという場合、褒めるポイントを外してしまうことがある。仕事においてもそうだ。
まずは本人の自己評価を聞いてみよう
例えば、部下や後輩が、「提案書を作ったので、チェックしてもらえますか?」と相談に来たとする。
目を通してから「この導入部の作り方が顧客視線になっていていいね」と褒めたところ、「あ、そこは、○○先輩が先月の案件で作った資料から持ってきた部分です」という返事が返ってきて、気まずい雰囲気になることがある。
「フィードバックをしてほしい」と相手に求められた場合、まずは、本人の自己評価を聞いてみることが大事だ。
提案書の例で言えば、「自分ではどこを工夫したの?」「どこが一番頑張ったところ?」「どの点で特にフィードバックすればいいのかな?」などと、提案書を作成した本人に自分の捉え方を聴いてみる。本人もそう問われれば、自分の仕事について、一度振り返ることができる。本人の話を聴いた上で、上司や先輩からフィードバックすれば、ポイントをはずすことはないはずだ。
その上で、部下や後輩も気づいていないよい箇所があれば、「私の目から見ると、この部分はいい工夫だなあと思うよ。お客様が気になりそうな数字を全部リストにしてあって、疑問が残らないようにしてあるものね」などと具体的に指摘すればいい。
そう言われれば、部下・後輩は、自覚していた部分だけではなく、無意識に行っていたことの中にも「よい点」が含まれていることに気づける。
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