つい調べたくなる新メンバーの人となり、人づてに聴くとこんなリスクが:田中淳子の人間関係に効く“サプリ”(1/2 ページ)
チームに新しい上司がやってくるとき、新メンバーが加わるときには、その人となりを知りたくなるのが人情だ。しかし、事前情報を仕入れすぎると、本来のその人の個性を無視した扱いをすることになりかねないので注意が必要だ。
田中淳子の人間関係に効く“サプリ”:
職場のコミュニケーションに悩んでいる人も多いのではないでしょうか。「上司にこんなことを言ったら怒られるかもしれない」「部下には気をつかってしまうし」――。
本コラムでは、職場で役立つコミュニケーション術をご紹介します。具体例を挙げながら「なるほど! こういうやり方があるのか」「これなら自分でもできるかもしれない」と感じてもらえるよう、筆者が見聞きした出来事をちりばめています。
明日から……ではなく、いますぐに試すことができる「コミュニケーションのヒント」をご紹介しましょう。
子どもの頃、学校で予防接種を受けときのこと。列に並んでいると、前の方から注射を終えたクラスメイトが腕を押さえながら戻ってくる。
「痛かった?」「どのお医者さんが痛かった?」「右側のお医者さんは痛くなかったの? じゃあ、列変わろうかな」……。こんな経験者の言葉で、また、さらにドキドキして順番を待つことになる。
やがて自分の番になり、「前評判で想像していたよりも痛かった」とか、「教えてもらった通りこのお医者さんは痛くなかった」とか「痛くはなかったけど、ちょっと怖いお医者さんだった」などと悲喜こもごもな気分で皆教室に戻ってくる。そして、これから注射を受ける他のクラスの子どもたちに、“注射の経験済みの先輩”として、また「あのお医者さんは痛い」「こっちのお医者さんは怖い」といった情報を伝えていく。言われた子どもは、また「えー?」「そうかー」とざわつきながら列を進めていく。
先人の経験をあらかじめ聴いておくことは、心の準備をするのに役立つ場合も多い。何事も予備知識なしで臨むと不安は大きい。だから、自分より先に注射が終わったクラスメイトに様子を聴いて、心の準備をしておくのだ。
仕事においても、経験者にあらかじめ情報をもらっておくというのはよくある。例えば、あるクライアントを担当することになった場合の前任者からの引き継ぎだ。
この時、クライアントのキーパーソンについて、「どんな人なのか」を前任者から微に入り細を穿って聴いておく。「先方の部長は、全体像を示した絵を提示することを好むので、詳細な資料ばかりではなく、全体感が分かる資料を添えたほうがいい」とか「担当の課長は話し好きなので、打ち合わせが長引く傾向がある」とか、そんな情報を仕入れておき、準備不足による対応ミスを起こさないようにしておく。
引き継ぎは、こういう人的側面も含めてしておいたほうがよい。少しでも先方に「分かっていないな」「引き継がれていないんだな」と思わせてしまうと、せっかくここまで築いてきた信頼関係が崩れかねない。だから、仕事の中身だけではなく、関係者の人となりを詳しく教えてもらうに越したことはない。
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