進むクラウド会計の世界、全自動「freee」は中小企業の救世主となるか:バックオフィスを効率化して今こそ本業に専念を(1/2 ページ)
IE対応は後回し、Mac対応、どこからでも使える。全自動のクラウド型会計ソフト「freee(フリー)」は中小企業の会計処理を何倍にも効率化してくれる。外部ツールとの連携も強化し、いま最も勢いがある会計ソフトを作り出しているfreeeの佐々木大輔代表取締役に話を聞いた。
会計処理と聞くとどのようなイメージを持つだろうか。「地味」「めんどくさい」「非効率」――。会計処理のような事務作業はいわゆるバックオフィスの作業で、本業とは別にわざわざ時間を取って行わなければならない。専任の部隊がいる大企業であればいいが、人数が少ない中小規模の企業になると、それこそ経営者自らが行っている場合もあるだろう。
経営者でなくても、交通費精算、経費精算なども含めると、あらゆる層の人々が本業とは別のところで会計処理をしている。そしてそのときに使うソフトはどうだろう。普段ブラウザはChromeを使っているのに、なぜか会計ソフトの対応ブラウザがInternet Explorerだけだったり、操作はアニュアルを見直さないと分からなかったり。だから会計処理となると、めんどくさい、やりづらい、ソフト古い――となって後回しになりがちだ。
会計ソフトはPCが出てきた初期から発売されていた、いわば業務ソフトの古株だ。使う端末も働き方も変わってきているのに、ソフトだけが変わらない。会計の世界にも変化が求められている。そんなときに出てきたのが全自動のクラウド型会計ソフト「freee(フリー)」だ。潜在的に今の会計処理プロセスに対して問題意識を持っていた層がすぐに反応し、2013年3月のリリースからわずか半年で1万を超える事業者が登録。8月には有料プランを開始、10月現在の登録数は1万3000を超えている。
簿記の知識がなくても利用できるシンプルさ、使いやすいユーザーインタフェース、銀行やカードのWeb明細と自動同期して会計帳簿を作成する機能性、こうした特徴を持つ「freee(フリー)」は、どのような人々がどんな思いで作っているのか。freeeの代表取締役、佐々木大輔氏に話を聞いた。
freee代表取締役の佐々木大輔氏。2013年8月に移転したばかりの新オフィスにて。Googleを辞め、設立当初3人で始めたオフィスも現在では12人が在籍する規模に成長。卓球台やダーツなど遊び心も満載で、そちらも魅力的だ。オフィスの様子は記事後半で紹介している
ビジネスを立ち上げるときに「これがあれば大丈夫」といわれるソフトに
freeeは、登録するだけですぐに利用できる全自動のクラウド型会計ソフト。Chrome、Firefox、Safari(バージョン6以上)、Internet Explorer(8以上)に対応しており、インターネット環境さえあればいつでもどこでも利用できる。
取引先とのやりとりが発生する場合には、ユーザーを追加すればデータの共有が可能。担当者は税理士事務所や会計事務所、アドバイザー間で取引(仕訳)ごとコメントやメッセージのやりとりができる。
ブラウザベースなので、Macを含むマルチデバイスに対応。PCリプレース時に移行で手間取る心配がない。例えば2013年4月にサポートが終了するWindows XP端末を利用している人でも、PCを乗り換えたその日から継続して利用できる。消費増税など、経理関係者が気になる点にももちろん対応している。
そのほか交通系ICカードと連携して交通費の会計処理を自動化できたり、個人事業主向けには青色申告用決算書を、法人向けには会社法準拠の決算書を作成できる機能も備えている。
利用料は、個人法人に合わせた決算書を作成できる3カ月の「無料プラン」、青色申告対応の決算書を作成できる「個人事業主プラン(月額980円)」、会社法に準拠した決算書を作成できる「法人プラン(月額1980円)」の3つを用意している。いずれも3ユーザーまで共有でき、全ての基本機能が利用できる。
またfreeeはそれ単体でも会計ソフトとして豊富な機能を備えるが、先日発表したiPad用のPOSレジアプリ「ユビレジ」との連携や、10月25日にはクレジットカード決済代行「イプシロン」との提携も発表した。これは「個人事業主や中小企業がビジネスを始めようと思ったときに、これがあれば大丈夫といったものにしたい」(佐々木氏)という考えからきている。
freeeは、登録した取引(仕訳)内容などfreee上のデータ参照を可能にするAPIを公開することで、freeeと連動する外部ツールの開発を可能としている。それにより、現在対応している電子決算や現金決算に加えて、Eコマースやモバイルアプリなど外部で発生した処理に対してもfreeeと連携して行えるようにする方針だ。
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