入社1年目は「プロとしての姿勢」をつくる:選ばれ続けるリーダーの条件(1/2 ページ)
新卒の入社1年目は、プロとしての姿勢を身につける期間です。社員研修の4月から給料がもらえますが、ただ喜ぶだけでなく「自分はお金をもらっている」「プロとしての力をつけることを期待されている」という責任を感じられるかどうかが、最初の分かれ目なのです。
集中連載「選ばれ続けるリーダーの条件」について
本連載は、山元賢治著、書籍『選ばれ続けるリーダーの条件』(中経出版)から一部抜粋、編集しています。
グローバルの波の中で、仕組みや慣習もものすごいスピードで変わっていきます。日本企業のあり方や個人の働き方も、従来のままではいられない。刻々と変化する世界で、変わらず求められる真のリーダーの条件とは何か? 外資系トップ企業で30年活躍した経験を、次世代のリーダーに伝える1冊です。
アップル、オラクル、IBMやEMCなど、30年間外資系トップ企業で働き、ビジネス界の巨人と肩を並べてきた山元賢治氏が大切にするのは、誰からも「選ばれる」人が持っているルールです。
「選ばれる人は、目先のテクニックに走らず、もっとも守るべき“原則”を理解し、日々実践できるかどうかで決まる」
未来のリーダーを目指す人、リーダーとして頼られる人間になりたい人に読んでほしい1冊です。
入社1年目は「プロとしての姿勢」を身につける期間
新卒の入社1年目は「プロとしての姿勢」を身につける期間です。
新入社員研修を行っている4月から早速、給料が振り込まれます。このときに、ただ「うれしい」と喜ぶだけでなく、「自分は会社からお金をもらっている」という責任を感じられるかどうかが、最初の分かれ目です。
採用されたのは、プロとしての力があるからではありません。プロとしての力をつけることを期待されたからです。入社1年目で給料をもらったからといっても、まだ先輩たちの仕事によって食べさせてもらっている状況です。
このことを自覚して、プロとしての力がつくように努力すること。会社としては、一刻も早く先輩たちのレベルにキャッチアップすることを望んでいます。
仕事を捉える4つの視点
1年目には、仕事に対するパースペクティブ(見取図)を持つことも大事です。
仕事は「人」「モノ」「情報」「お金」という4つの軸で成り立っています。この4つが自分の仕事にどのように関わっているのかを認識することで、仕事のパースペクティブを得ることができます。
まずは「人」です。仕事は、さまざまな人が関わることで成り立っています。仕事の内容によって異なりますが、企画立案者や設計担当者、プログラマー、工場の責任者、流通業者や販売業者、購入するお客さまなど、実に多くの人が関わっているはずです。自分の仕事にはどのような人が関わっていて、自分はそのどこに位置しているのか。まず、このことを認識してください。
次に、商品となっているモノ(サービス)と自分の仕事がどのような関係にあるかを把握します。モノ(サービス)を作って売る。会社がやっていることは、基本はこれだけです。その中で、自分の仕事がどういう役割を果たしているかを考えます。直接、製造や販売に関わる部門に所属していなくても、人事部なら「最適な商品の製造と販売のために、最適な人材配置を実現している」と考えることができます。その中で、さらに「最適な人材配置のための人事考課や採用を行うサポートをしている」と自分の仕事を定義できれば、モノと自分の仕事が結びつくことになります。
次が「情報」。1つの仕事には多くの情報が関わっています。市場の状況はどうなっているのか、新しい技術の開発はどのようなステージにあるのか。パートナーのモチベーションは高いのか低いのか、商品はユーザーにどのように受け取られているのか……など、さまざまな情報が関連しているのが仕事です。自分の仕事をどのような情報が取り巻いているかを考えてください。
そして、「お金」。お金が自分の仕事とどのように関わっているかを把握します。プロジェクト全体でどれくらいのコストがかかっているのか、1人あたりいくらの粗利になるのか、1日遅れるといくらの損失になるのか。こういったお金に対するセンスは、ビジネスマンに絶対的に必要な要素です。どのような職種でも「数字に弱い」という言い訳は通用しないと思ってください。
「人」「モノ」「情報」「お金」という4つの軸で考えると、自分が位置している地点の座標を得ることができます。このように自分の座標を知っていることが、プロとしての姿勢の基本をつくります。
関連記事
- これからの働き方、新世代のリーダー
- 仕事は70%程度――ぶら下がる20代を次世代リーダーに変える処方箋
指示されたことはこなすが、それ以上はあえてしない。そんな若手社員が周りにいないだろうか? 「ぶら下がり状態」の社員にリーダーシップ力を付けてもらうために、上司や会社、本人に何が必要なのか。 - リーダーは部下に「指示」ではなく「意図」を伝えよう
「指示」を与えられた人は、指示通りに動くだけです。タスクの完了だけを目指し、必要最低限のことしか考えなくなるのです。 - あなたの志は何ですか? 志なしリーダーの10の行動
リーダーシップを発揮するうえで、最も重要なポイントは何だろうか。これまで1万人以上の人材育成に携わってきた筆者によると、それは「志」だという。では、志のないリーダーはどのような行動を取るのだろうか。10の行動でまとめてみた。 - リーダーにふさわしい人材がいない……それは“昇進のジレンマ”
次代を担うリーダーが出てこない、という企業の悩み。その原因の1つには、失敗を経験した人が昇進させられないという制度上の問題があるのかもしれない。 - リーダーに「カリスマ性」は不要である
リーダーに必要な能力を問うと「カリスマ性」という回答が寄せられる。その気持ちは分からないではないが、若きリーダーが「カリスマ性を身につけよう」と目指すとろくなことがない。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.