中小企業を元気にするスマホ導入の極意――成功企業の社長に聞いた:誠 Biz.IDセミナーリポート(2/3 ページ)
スマホユーザーが増えるのと比例して、ビジネスシーンでのスマホ利活用が進んでいる。ただし、スマホを導入したら「終わり」という話ではない。成果をきっちり出している先行企業に共通するものとは?
スマホ/タブレットの活用で1日4時間のムダを削減
スマートデバイスの導入は、山崎文栄堂に新たな「時間」を生み出した。効率のよい営業ルート設計などで移動時間が短縮できた。帰社してから書いていた営業報告書などは移動の間にスマホから入力できるようになった。書類はすべてデジタル化され、情報を集める時間も短くなった。
移動時間、入力時間、検索時間――それぞれに存在した無駄をスマートデバイスで排除した結果、1日当たり概算で4時間の短縮を実現した。「デジタル」によって新たに生まれた時間は、新規顧客の開拓や既存顧客とのより密接なコミュニケーションにあてるなど、「アナログ」な活動のために使われている。今では、渋谷区にある企業の4割が山崎文栄堂の顧客である。
もう1つの効果として表れたのは、コミュニケーションの活性化だ。スマホの導入後、社員間のコミュニケーションツールとして「ChatWork」を活用している。山崎社長も自身のタスクや意見、メモをChatWorkで管理している。このセミナーの企画詳細を詰める際にも、山崎氏、筆者、誠 Biz.ID編集部の3者間で利用した。
「社長に一番重要なのは、頭が常にすっきりしている状態をキープすること。重要な情報を全部ChatWorkに入れておけば、普段は空っぽの状態でいろんなことが考えられるのです」(山崎氏)
もちろん、社員も使いこなしている。社員間で共有している顧客のちょっとした情報は山崎氏の目にも入るし、社内改善提案などがボトムアップで社長まで届くようになったという。
「ITというのは目的ではないし、コミュニケーションの代わりでもありません。あくまでコミュニケーションを強化するもので、本来は会えないときでも何かを伝えられる道具なのです」(山崎氏)
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