スマホ導入で月々の通信費、やっぱり上がるの!?:スマートデバイス導入のお悩み相談室
パケット定額制に契約するスマートフォンは、当然ですが固定費を圧迫する存在です。ただ、逆にコストが上がるのは間違いないので、その前に端末と通信費の見直しをして少しでも通信費を上げない努力をしてみましょう。
本連載「スマートデバイス導入のお悩み相談室」について
スマートフォンやタブレットなどスマートデバイス端末を業務でも積極的に活用したいという現場からのニーズがある一方、管理負荷の問題やセキュリティの不安などから、企業側では導入に踏みとどまるなど、頭を悩ませています。本連載では、そうしたスマートデバイスの業務利用に関する悩みについて、複数社のスマートデバイス導入に携わってきた京セラコミュニケーションシステムの早田麻子(はやた・あさこ)事業部長に、アドバイスをもらいます。
スマートフォンやタブレットの導入にはメリットだけでなく、前回紹介したセキュリティの問題など、いくつかの心配事項があります。今回はその1つ、通信コストについて悩みを持つ製造業、総務部の男性40代からの相談です。
今回のお悩み:月々の通信料金が心配です
スマートデバイスの業務活用に興味はありますし、会社でも検討をしているみたいです。しかし、逆にコストが上がりませんか? 月々の通信料金が心配です。
早田さんの回答:いま社内にある端末と通信費の見直しを
電波状況さえ良ければいつでもどこでもインターネットに接続できるスマートフォンは、当然ですが通信費が発生します。Wi-Fi接続が前提でない限りパケット定額制に契約するので、月々の通信コストは約5000円。もし携帯電話にも契約していれば固定費、つまり通信コストは当然増加してしまいます。
ただ、相談者は総務部の人なのでここで「やはり上がるのか……でもまあ会社の指示だししょうがないか」で済ませてしまってはいけません。
こういう時代だからこそ、情報システム部門だけでなく総務部や経理部など、普段スタッフ管理をしている人たちが能動的に分析したり、管理したりすることが大切です。総務部の人がコストの心配をするのはもっともです。ただ、単純に導入しただけではコストが上がるのは間違いないからこそ、やれることがあります。
具体的には、いま社内にある端末と通信費の見直しなどです。例えば現状、携帯電話と固定電話、社内内線電話、それからPC用のデータ通信カードを社員に配布しているとします。それらに掛かっている費用は1人当たり約5000円。そこにスマートフォンが加わります。社員全員分で考えるとかなりのコストですよね。
本当にそれだけ必要なのか、誰が必要なのか。携帯電話とスマートフォンをどちらか1台にしたり、PC用のデータ通信カードを持っているのであれば、それをスマートフォンのテザリング機能で代用したり。ある企業では、データ通信カードと携帯電話をなくし、スマートフォンに一本化したという例もあります。
工夫次第で通信コストを増やさずに済みますので、まずは端末が増えても、現状より通信費用が上がらないことを目指して、やっていけばいいかと思います。
端末数を集約したり契約の見直しをしたりすると、端末数が増えても月々の通信費は下がる可能性も十分に考えられます。数年前に契約したプランの場合、現在はもっとお得なプランがあるかもしれません。
また法人向けサービスには、音声通話やデータ通信ソリューションをスマートフォンに統合したモバイル通信サービスなど、トータルの通信/管理コストの削減を支援するサービスもあります。そうしたことを1つ1つあきらめずに検討してはいかがでしょうか。
私が見てきた企業の傾向からすると、スマートデバイスの導入に当たって企業の経営者が気にするのは、初期費用の問題です。この初期費用はよくチェックしているようですが、月々の通信費になるとあまり気にしない人もいるようです。
毎月の通信費は1人当たり数千円ですが、従業員数を考えるとあっという間に何百万円ですよね、こうした毎月のコストを年間で考えると何千万円にもなります。よってそこはきちんと整理をして、通信費の総額を決めた範囲内に収められるようにそれぞれの通信機器の役割を明確にしていく必要があると思います。
早田麻子(はやた・あさこ)さん
京セラコミュニケーションシステム(KCCS)ICT第1営業本部ビジネスイノベーション営業統括部事業部長。京都市出身。1994年、同志社女子大学学芸学部日本語日本文学科卒業。同年、山一證券入社。1996年、KCCS入社。1997年、情報通信営業部東京営業部のグループ長に赴任。2001年、首都圏営業1課課長。2004年、IPサービス事業本部 IPイノベーション営業部 部長に就任。2007年、東日本ICT 営業本部 東日本ビジネスイノベーション営業部 事業部長。2011年、組織変更に伴い現在の役職に至る。1女児の母。
スマートデバイス導入に関しては、モバイル通信の普及当初からリモートアクセスサービス事業に携わり、その後MVNO事業の立ち上げに従事。最近は大手企業向けのスマートデバイス導入プロジェクトにもかかわり、その経験を基にスマートデバイス関連のセミナーで数多く講演。自身もモバイル環境を活用して積極的に仕事をこなす傍ら、母親としてのワークライフバランスを実践している。
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