スマホやタブレットのデータ、重要度別でサービスの使い分けを:スマートデバイス導入のお悩み相談室
Dropboxなどのクラウドサービスを使っても大丈夫? セキュリティ対策はどうすれば……。こうした悩みに対し、早田さんは「むしろクラウドの方が安全な場合も。どんどん活用しましょう」とアドバイスします。
本連載「スマートデバイス導入のお悩み相談室」について
スマートフォンやタブレットなどスマートデバイス端末を業務でも積極的に活用したいという現場からのニーズがある一方、管理負荷の問題やセキュリティの不安などから、企業側では導入に踏みとどまるなど、頭を悩ませています。本連載では、そうしたスマートデバイスの業務利用に関する悩みについて、複数社のスマートデバイス導入に携わってきた京セラコミュニケーションシステムの早田麻子(はやた・あさこ)事業部長に、アドバイスをもらいます。
スマートフォンやタブレット端末の業務活用に当たって、懸念事項の上位にくるのがセキュリティの問題です。PCと同じようなセキュリティポリシーで運用していいのか、また必要なセキュリティ対策ソフト、管理ツールは何なのか。管理者や経営者は頭を悩ませています。
従業員からすれば、便利なツールはどんどん活用したいものです。スマートフォンやタブレット端末はクラウドサービスとの親和性が高く、そうしたサービスを利用することで業務効率の向上が期待できるからです。
ただ、万が一端末を紛失したり、クラウド上にあるデータが漏えいしたりなど、リクスがあるのも事実。今回はそうした悩みを持つ、飲食業、30代男性からの悩み相談です。
今回のお悩み:Dropboxなどのクラウドサービスを使っても大丈夫? セキュリティ対策はどうすれば……
仕事でiPadを使っています。スタッフ間での資料共有でDropboxなどのクラウドサービスを利用したいのですが、大丈夫でしょうか? 外部にデータを預けるのは、情報漏えいがあってはと心配なのです。セキュリティに関する注意点があれば教えてください。
早田さんの回答:むしろクラウドの方が安全な場合も。どんどん活用しましょう
まず、Dropboxなどのクラウドサービスを使っても問題ないかという話ですが、それについては一部条件はあるものの問題ないと思います。
自分の端末内に入れておくよりもむしろ、クラウドサービス側の方がセキュリティレベルが高い場合があるからです。よって私からは今あるそうしたサービスをもっと使ってみてはとアドバイスします。
また用途がスタッフ間での情報共有なら、なおさらクラウドの方が便利です。メールでデータを添付して各自に送信するよりも、一度アップロードすれば皆が確認でき、通信環境さえあればいつでもどこからでも利用できるからです。
そして、そうしたサービスを安心して使うために必要なのが、質問者も懸念しているセキュリティ対策をしっかりすること。クラウドサービスを利用するに当たってのルール決めをすることが一番大切です。外部に出していいデータ、出してはいけないデータの種類などを会社でガイドライン化し、何か問題が起きた場合の対処フローを決め、従業員それぞれが把握しておきましょう。もちろん端末が紛失してしまっては元も子もないので、端末側のパスワード設定は必須です。
またデータを外に預けるわけですから、利用するサービス側の規約やセキュリティレベルを確認し、それらが自社のポリシーに合っているかをチェックする必要があります。利用する前に各人がきちんとサービス規約を読んでおきましょう。そして会社が決めている外部に出していいデータで、かつ会社が許可したセキュリティレベルを満たしているのであれば、利便性の高いクラウドサービスを利用して問題ないでしょう。
心配で外に出さないよりも、出していいデータはどんどんクラウドに入れて活用する――。会社が許可しているデータはクラウドに入れて、その利便性や業務効率向上などのメリットを受けてはいかがでしょうか?
早田麻子(はやた・あさこ)さん
京セラコミュニケーションシステム(KCCS)ICT第1営業本部ビジネスイノベーション営業統括部事業部長。京都市出身。1994年、同志社女子大学学芸学部日本語日本文学科卒業。同年、山一證券入社。1996年、KCCS入社。1997年、情報通信営業部東京営業部のグループ長に赴任。2001年、首都圏営業1課課長。2004年、IPサービス事業本部 IPイノベーション営業部 部長に就任。2007年、東日本ICT 営業本部 東日本ビジネスイノベーション営業部 事業部長。2011年、組織変更に伴い現在の役職に至る。1女児の母。
スマートデバイス導入に関しては、モバイル通信の普及当初からリモートアクセスサービス事業に携わり、その後MVNO事業の立ち上げに従事。最近は大手企業向けのスマートデバイス導入プロジェクトにもかかわり、その経験を基にスマートデバイス関連のセミナーで数多く講演。自身もモバイル環境を活用して積極的に仕事をこなす傍ら、母親としてのワークライフバランスを実践している。
関連キーワード
セキュリティ | クラウドコンピューティング | クラウドサービス | 京セラコミュニケーションシステム | セキュリティ対策 | スマートフォン | 銀行 | 企業 | 日本 | 運用管理 | 業務 | Dropbox | 会社 | 相談窓口 | スマートデバイス導入のお悩み相談室 | セキュリティ企業 | セキュリティ問題 | セキュリティポリシー | スマートフォンセキュリティ
関連記事
- “会社支給スマホ”に5つの悩み、“BYOD”に3つの課題――マクニカ山城氏が解説
企業のスマートデバイス活用が始まっているが、端末支給にはコスト面をはじめとする課題もある。一方で私物端末の活用も注目されているが、運用には留意すべき点がある――マクニカネットワークスの山城氏がポイントを解説した。 - 震災後、シトリックスの在宅勤務を支えた2つの制度
地震や台風などの災害リスクと、少子高齢化が強いるワークライフバランスの変化。日本企業に立ちはだかる課題は数多い。3.11翌日から在宅勤務導入という早期決断に踏み切ったシトリックスに同社の取り組みを聞く。 - Androidユーザー必見 セキュリティ企業5社に聞くウイルス対策
スマートフォンのセキュリティ対策の重要性は分かる。でもセキュリティ対策ソフトはインストールしない。そんなユーザーに対する回答として、エフセキュア、カスペルスキー、シマンテック、トレンドマイクロ、マカフィーに聞いたコメントをまとめた。 - サービス残業、見て見ぬふりするのがサラリーマン?
就職氷河期世代、ロストジェネレーション、貧乏くじ世代――何かと同情されることの多い30代前後の世代。何とか入社した会社では、少ない人員の中でサービス残業もいとわぬ覚悟で働いてきた方も多いはず――。そうした状況に違和感を覚えている方も多いのではないでしょうか。KCCSの早田部長がそんな疑問に回答します。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.