新入社員と仲良くするコツ――生々しい失敗談を率先して披露する:田中淳子の人間関係に効く“サプリ”(1/2 ページ)
自分たちとは世代も考え方も異なる新入社員たち。彼らの心にすっと入り込み、良好なコミュニケーションをはかるためのコツをご紹介しよう。
田中淳子の人間関係に効く“サプリ”:
職場のコミュニケーションに悩んでいる人も多いのではないでしょうか。「上司にこんなことを言ったら怒られるかもしれない」「部下には気をつかってしまうし」――。
本コラムでは、職場で役立つコミュニケーション術をご紹介します。具体例を挙げながら「なるほど! こういうやり方があるのか」「これなら自分でもできるかもしれない」と感じてもらえるよう、筆者が見聞きした出来事をちりばめています。
明日から……ではなく、いますぐに試すことができる「コミュニケーションのヒント」をご紹介しましょう。
4月になり、今年も新入社員がやってきた。
研修の講師という仕事柄、この季節になると、新入社員のOJTトレーナーに向けた研修も数多く担当する。研修の冒頭で「どんなことが心配か」「何を学びたいか」と聞いてみると、毎年、新入社員と良好な関係を構築することや、新入社員のやる気を削がないようすることを懸念している人が多い。特に新入社員と接する機会があまりない人は、彼らとどう関わればよいか分からないのだという。
私はかれこれ30年近く新入社員の育成に携わってきており、1年で100人を超える新入社員と接することもあった。長い目で見れば、新入社員は少しずつ変わってきているが、その根本に大きな変化はないように感じる。
ともすれば「ゆとり世代」などと揶揄(やゆ)されてしまう“イマドキ”の若者だが、実際のところは、バブル世代やそれ以前の世代(私などがそうだ)などと比べても、礼儀正しく素直で、真面目で、勉強熱心でもある。そんな彼らと円滑にコミュニケーションを取るにはどうすればよいか。それにはまず、自分と新入社員の「心理的な距離」を意識することが重要だ。
新入社員から“共感”を得ることが重要
仕事を始めたばかりの新入社員は、堂々としているように見えても、内心はさまざまな不安や悩み、落ち込みなどを抱えていることが多い。しかも、その悩みや不安を上司や先輩に打ち明けるケースはほとんどない。なぜなら、彼らにとって上司や先輩は、自分の気持ちを分かってもらえるわけがない――つまり、心理的に“遠い”存在だからだ。
新入社員にしてみれば、先輩や上司は皆立派に見えてしまい、自分と同じ苦しみや悩みを感じていたことを想像できないのだ。ましてや、上司が仕事でミスをする姿などは想像しようもない。
不安だったり、悩んでいたりするのは自分だけかもしれない――そう考えて、不安や悩みを打ち明けることもできず、「心配かけてもいけない」とつい、ひょうひょうとした態度を示してしまう人もいる。
そんなときは、上司や先輩たちが体験してきたことを折に触れ、語ってみてはどうだろう。現場の生々しい出来事、成功して達成感を味わった仕事、失敗して悔し涙に暮れた経験、顧客に叱責されて落ち込んだ時のこと、この仕事に向いていないのではと悩んだ日々……。
今や中堅、ベテランになっている上司や先輩の口から、若かりし頃の体験談が語られると、新入社員はとても興味を持って聞く。「時代も違うし、10年前の体験を話しても通じないかなぁ」と思う必要はない。いつだって若手が悩むことはさほど変わらず、若手がしてしまう失敗も似たようなものだ。
上司や先輩がこういった話をすることが、「ああ、上司にも自分と同じ時代があったのか」「先輩も悩んで、それを乗り越えて今に至っているのだな」と新入社員の共感を呼ぶ。この共感こそが新入社員と年長者との距離を縮める方法であり、昔の体験であっても彼らの成長に役立つものとなる。
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