「失敗」のデータを分析したら“成功の種”が見えてきた:3分LifeHacking
仕事上の失敗はマイナス評価をされがちですが、失敗を科学的な見方で分析し、正しい答えを導き出すためのデータの1つにできれば、成功への糧にすることができます。
筆者は先日、友人のBech Tench氏と、とても有意義な会話をしました。その会話の中で彼女は、自分がある科学博物館で働いている際に経験した、興味深い「考え方の変化」について話してくれました。
彼女は、その博物館で働いている間に「科学者のように失敗に対処する方法」を学んだというのです。科学者が失敗に対処する方法とは、どういうことなのでしょうか。そして、そのアプローチは、私たちにとってどう役に立つのでしょうか。
Tench氏は、次のように教えてくれました。
科学者が失敗に対処する方法
科学の実験では、さまざまな結果が生じる可能性があります。好ましい結果が出ることもあれば、そうでない場合もあります。しかし、どの結果も、実験データの1つであることには変わりありません。どの実験結果も1つのデータであり、合わせれば最終的に正しい答えへとつながる可能性があるのです。
これこそが、科学者が持っている「失敗に対する考え方」です。つまり失敗も、データの1つだと考えるのです。
これは、世間一般で失敗について話す時に見られる態度とはかなり違います。大半の人は、失敗をその人を評価する指標のようなものと感じています。例えば、試験で落第点を取ってしまった人は、自分を知的に劣ると考えてしまいます。また、ダイエットに失敗したら「自分は魅力のない人間だ」と考えてしまいます。ビジネスで失敗した時は「成功するための資質が欠けている」と考えてしまうし、アートで失敗をすると「創造性がない」と考えてしまいます。
ところが科学者の場合、実験で予想と違う結果が出たとしても、その科学者が劣っていることにはなりません。実際はそのまったく逆です。ある仮説が誤りであると証明することは、仮説が正しいことを証明するのと同じくらい有用なのです。なぜなら、その実験の過程で、何らかの知見が得られるからです。失敗はあくまでも、正しい答えへと導いてくれるデータの1つに過ぎないのです。
失敗は、正解に至るために必要なコスト
とはいえ、筆者は決して、「積極的に失敗しよう」とか、「失敗は楽しい」などと言っているのではありません。当然、物事に取り組む時は、正しいやり方を目指すべきです。それに、自分にとって大事なことで失敗したら、楽しい気分になれないのは当然です。けれども失敗は、あなたの成長にとって必須の要素なのです。
新しい習慣や技術を身につけたり、何らかの技能を修得したりするために、目標を持って取り組んでいるときは、基本的に、あれこれ実験している状態になります。そして、実験を繰り返す中では、時々は望ましくない結果になることもあります。
これはどんな科学者でも経験することですし、みなさんや筆者にしても同じことです。マーケティングについて多数の著書を持つセス・ゴーディン氏も似たようなことを言っています。失敗とは、正解に至る過程で支払わなければならないコストなのです。だから失敗を、科学者のような態度でとらえましょう。失敗は、あなたの能力の低さを示すものではありません。また成功も、あなたの資質の高さを示すものではありません。どちらも、次の実験の参考になるデータに過ぎないのです。
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