グローバル・ナンバーワンが無理なら、ニッチ・ナンバーワンを狙う:一生食える「強み」のつくり方(1/3 ページ)
グローバル・ナンバーワンの会社に入社できなかったら、次の選択肢として、ニッチ・ナンバーワンの会社に就職することをおすすめします。大事なのは、たとえ市場規模が小さくても、とにかくナンバーワンの会社にこだわることです。
集中連載「一生食える「強み」のつくり方」について
本連載は、堀場英雄著、書籍『「プチスキル」をかけ合わせて「レア人材」になる 一生食える「強み」のつくり方』(日本実業出版社)から一部抜粋、編集しています。
ビジネスの世界では長らく、習得に1万時間(10年)を要する「プロスキル」が重視されてきました。しかし、会社もスキルも「突然死」しかねないこれからの時代には、2500時間(2年半)という短時間で習得できる「プチスキル」が不可欠です。
本書では「プチスキル」の選び方を「戦う土俵(仕事)」「戦う武器(スキル)」に分けて説明し、その学び方を3ステップで紹介。事例を含めた試し方を具体的に学んでいきます。
習得した「プチスキル」を複数かけ合わせることで、他のビジネスパーソンにはない「強み」を持った、「レア人材」になれるのです。
誰もがグローバル・ナンバーワンの会社に入れるわけではありません。次の選択肢としては、グローバルで差別化できている、または独自の強みを持つ会社に就職することがおすすめです。すなわち、ニッチ・ナンバーワン戦略です。
大事なのは、ニッチ(市場規模が小さい)であっても、戦っている土俵ではナンバーワンの会社に就職することです。例えば、「自動車業界にこだわってナンバーワン企業がダメならナンバー2に就職する」といった考え方は捨て、小さくてもとにかくナンバーワンにこだわるべきです。そういう会社で働く中で、グローバルの戦いに負けないスキルを自分でも磨いていきます。
ではニッチ・ナンバーワン企業はどのように見つければよいでしょうか? 例えば、マニー、伊那食品工業、アビー、大槇精機という企業名を聞いて、あなたはどんな企業か想像がつきますか? これらを1社も知らないとすると、あなたのニッチ・ナンバーワンの企業を探す能力が低い可能性が高いです。これらの4社を簡単に紹介しておきます。
マニーは、東証1部上場企業であり、手術用縫合針は日本の生産量の70%以上、日本から輸出される90%以上のシェアを占めています。売上高経常利益率は36.3%(売上96億9千万円、経常利益35億2千万円、2012年8月期)と非常に高い会社です。
伊那食品工業は、「かんてんぱぱ」という商品や「年輪経営」という企業戦略で有名です。グーグルで調べると、「毎年着実に成長する同社の経営姿勢に関心を抱く人々は多く、帝人、トヨタグループ幹部などが同社を見学に訪れている」という記事も見つかります。
アビー(ABI)は、急速冷凍技術で有名な会社です。「急速冷凍装置にCAS装置を組み合わせて凍結すると、従来の凍結技術で損なわれていた食材の鮮度や食感、旨味、色味などを保持し、再現することができる」という独自技術を持っています。生ガキを冷凍して1年後においしく食べられる技術です。
大槇精機は、切削加工で高い技術力がある会社です。加工技術のすごさが分かる「5軸加工」の動画を公開しています。アルミのブロックからヘルメットを削り出すその技術は、素人が見てもすごさが伝わってきます。
残念ながら、大学生の人気就職企業ランキングを見ていても、こういう会社は見つけることができません。これらの企業は、自分で探さないといけないからこそ狙い目です。
これらの企業を見つけることができれば、しばらくは食いっぱぐれることがない上に、ナンバーワンで利益率が高いため従業員に投資する余力があり、プチスキル習得のサポートを得られる可能性も高いのです。ナンバーワン企業ならではのスキルを身につけるチャンスもあるかもしれません。ですので、一生懸命探してみる価値は十分にあります。
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