「仕事さがし」ではなく「仕事づくり」へ:やる気がわいてくるたった1つの方法
ある人にとってはつまらなく、単調に感じる仕事でも長く楽しんで続けられる人もいます。考えの違いはどこにあるのでしょうか?
連載「やる気がわいてくるたった1つの方法」について
本連載は、心理学博士・榎本博明氏著、日本実業出版社刊『やる気がいつの間にかわいてくるたった1つの方法』から編集転載しています。
「日曜の夜は憂鬱(ゆううつ)になる」「自分に合った仕事に巡り会えればきっと仕事を楽しめるのに」――そう考えている人たちに向け、「自分に向いている仕事さがし」ではなく自分の「仕事づくり」のコツとして“ストーリー”をキーワードに解説しています。
そのコツを習得すれば、転職することなく、今の仕事に対して自然にやる気がわいてきて、仕事を楽しめるようになるといいます。
どうせ働くのなら、楽しみながら働くコツを身につけてみるのはいかがですか。
後の三洋電機副社長の後藤清一が松下電器で下積みをしていたころに務めた下足番(『こけたら立ちなはれ』PHP研究所)という仕事や、クロネコヤマトの宅急便を生み出した小倉昌男が語ったエピソードにある運送(『経営はロマンだ!』日本経済新聞社)といった仕事そのものには、楽しさがあるとは思えない。だが、彼らはそうした仕事をやりがいのある楽しいものに変えた。
多くの人は、そういった仕事を与えられると、単調でつまらないと自分の仕事に不満を持ち、もっと楽しいと思える仕事を探したいと言ったりする。だが、前述のとおり、そうした仕事を楽しんでいる人間もいるのだ。
仕事が楽しいか、楽しくないかというのは、結局のところ、仕事そのものの問題なのではなく、仕事をしている人間の心の問題なのではないか。
考えてみれば、そういったことは仕事に限らずあるものだ。野球部に入り、単調な球拾いばかりの毎日をつまらないとやめてしまう者がいる一方で、球拾いをいつか試合で活躍するための1つのプロセスと位置づけている者は、へこたれずに続けることができる。
あらゆるスポーツ選手が、きつい筋トレに耐えられるのは、その先に夢を持っているからだ。きつい筋トレそのものが楽しいと感じられる人は少ない。きつい筋トレが夢の実現につながると思うから、意味があるものとして熱心に取り組めるのだ。
こうして明らかになるのは、どんな仕事も、単調で退屈だったり、きつくて苦しかったりで、仕事そのものに楽しさがもともとあるわけではないということである。
ストーリーを持つことで、仕事のやりがいや楽しさが生まれる。ストーリーを持つことが、楽しい仕事づくりにつながるのである。自分のストーリーを持ち、仕事をストーリーの中に位置づけることができれば、どんな仕事にも意味が生まれ、そこから仕事のやりがいや楽しさが生まれる。
それが、「与えられた仕事」を「自分の仕事にする」ということである。
逃げの転職より「仕事づくり」を
ストーリーの中に自分の仕事を位置づけることができていない人、そもそも自分のストーリーを持っていない人は、「仕事が単調でつまらない」「きついばかりでもうイヤだ」などといって、逃げ出すか、愚痴をこぼしながら嫌々仕事を続けることになりがちである。
ストーリーを持たないままにいくら仕事を変えても、何の解決にもならない。ストーリーを持たないままの「仕事さがし」は不毛な悪あがきに過ぎない。意味のない転職を繰り返すことで、事態をさらに悪化させるばかりの人たちのいかに多いことか。
今や「仕事さがし」から「仕事づくり」へという発想の転換が必要である。転職はダメだという意味ではない。
「仕事づくり」を意識しない安易な「仕事さがし」による転職は、失敗を繰り返すことにつながりやすい。転職をするなら、「仕事づくり」をじっくり検討した上で、自分のストーリーの中にうまく位置づけることができる仕事を得るための転職をすべきなのである。
その前に、今の仕事を意味のあるものとして位置づける自分のストーリーが作れないかどうか、まずはじっくり考えてみるべきだろう。
“楽しい仕事”は「さがす」のではなく「つくる」!
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