スキャナーの第3勢力「オーバーヘッド型」3機種を徹底比較――画質比較編:Biz.Hacks(5/5 ページ)
オーバーヘッド型スキャナ3機種を徹底比較する短期連載。最終回は、A4ビジネス書類、名刺、写真、見開きの本といった原稿の種類ごとに、仕上がりの画質を比較する。
まとめ
以上、ざっとテストしてみたが、いくらユーティリティなどの使い勝手がよくても、最終的な画質が一定の基準を下回っていては、大事な書類を保存するには不向きだ。
そうした点で、細かい文字の読み取りに不向きな「デスクショット」は、用途が思いつきにくい製品だ。かろうじて使い道があるとすれば、大きな文字を中心に構成されたパワポ資料やイメージデータの取り込みだが、これにしてもスマホがあれば補正処理も含めて代替できてしまう。画質を向上させた後継モデルが登場することがあれば、また評価も変わってくるだろう。
伏兵と言えるのが「SnapLite」で、本体が影になりやすいオーバーヘッド型スキャナの欠点を内蔵のライトでカバーしている。また角度と焦点距離を固定することで手持ちでの撮影で発生しがちな手ブレやピンボケを防止しているほか、A3合成も可能であるなど、iPhoneを手持ちで撮影するのとは一線を画した使い勝手を実現している。
とくに写真のディテールの再現性は秀逸で、原稿の種類によっては専用機を上回るクオリティでの読み取りが行えるのは評価できる。個人的にはユーティリティ側にコントラストの補正機能がほしいと感じるが、前述のようにカメラロール側での補正で対応できるので、現状のままでもじゅうぶんに実用的だ。
「ScanSnap SV600」は、他の2機種に比べると高価だが、画質はドキュメントスキャナに肉薄するレベルで、価格なりの価値は十分にある製品だ。特にユーティリティは、多くのオーバーヘッド型が四隅を指定しての形状補正しか行えない中、見開きの本の輪郭を認識して補正するモードを備えており、機能で選んでいくと厳密な競合が存在しない。唯一、写真のディテールの再現性が低い点については、今後のバージョンアップに期待したい。
関連記事
- スキャナーの第3勢力「オーバーヘッド型」3機種を徹底比較――スキャン手順編
キングジムの「デスクショット」、PFUの「SnapLite」「ScanSnap SV600」を徹底比較する短期連載。今回はセットアップとスキャンの手順について比較する。 - スキャナーの第3勢力「オーバーヘッド型」3機種を徹底比較――設置スペース編
オーバーヘッド型スキャナ3機種を徹底比較する短期連載。今回は各製品の特徴をざっと紹介しつつ、各製品が必要とする設置スペースを比較する。 - スタンド型スキャナ「デスクショット」はどんな人が“買い”か?
ポメラやショットノートでおなじみのキングジムが、ユニークな形状のスキャナを発売した。気軽にどんどんメモを電子化できるようだが、画質は補正の精度はどの程度か。いくつかスキャンしてみた。 - デスクライトが名刺や書類をデジタル化!? iPhoneをスキャナに変える「SNAPLITE」
日々たまり続ける名刺や書類をスキマ時間でデジタル化したい――その願い、LEDデスクライトがスキャナに早変わりするSNAPLITEが叶える、かも。 - 非破壊型「切らずにスキャン」ScanSnap SV600は本当に「自炊」に使えるか?【前編】
PFUから書籍や雑誌を裁断しなくても読み取れる、新しいタイプのスキャナScanSnap SV600が7月12日に発売する。発売前からお借りして使ってみた。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.