フレームワークを使ってスタバを勝手にカイゼンしよう!:ナレッジワーキング!!(2/2 ページ)
約50人に、普段使っているスターバックスの改善点を考えてもらいました。出されたアイデアに優先順位を付けるにはペイオフ・マトリクスが有効です。
「スタバを勝手にカイゼン!」のペイオフ・マトリクス
カイゼン要望を整理するフレームワークとしては、「ペイオフ・マトリクス」が有名です。ここでは縦軸に「効果」、横軸に「費用」のマトリクスを作り、要望を実現するとどの程度の効果が期待でき、費用がかかるのかによって付せんを貼り付けていきます。つまり、「費用対効果」が高いものから優先順位をつけるためのフレームワークなのです。
筆者が良く使うペイオフ・マトリクスでは、横軸の「費用」を「工数」に読み替えて、「1週以内に対応可能」「1カ月以内に対応可能」「それ以上かかるもの」という3段階に分けています。「効果」に関しては、顧客100人のうち、何人くらいがポジティブに反応してくれるかを想定して、要望の付せんをプロットしていきます
「効果」は、顧客満足度をどの程度上げられるのかということになりますね。どれくらい多くの人が持っている不満なのか、不満の強さはいかほどなのか、それによって「効果」の大小が変わります。
一方、「費用」には物理的なコストだけでなく、手間や時間というものも含まれます。新しいメニューを開発したり、システムを作ったりするのは時間も費用もかかります。そうしたものはマトリクスの右端へ配置することになるでしょう。
費用対効果の左上端、つまり「最も費用対効果の高いカイゼン」ポイントには、多くのチームで同じアイデアが並びました。例えば、
- 取り違いのないよう「カップに名前を書く」
- 一人客はカウンターに案内する
- メニューに解説をつける
といった、どれもすぐに実行でき、効果が高そうなものばかりです。
どうですか? みなさんも身の回りの業務などを見直すときに、こうしたフレームワークを活用して、ディスカッションしてみては? すぐに直せて絶大な効果のあるものがあるかもしれませんよ!
著者紹介 永田豊志(ながた・とよし)
知的生産研究家、新規事業プロデューサー。ショーケース・ティービー取締役COO。
リクルートで新規事業開発を担当し、グループ会社のメディアファクトリーでは漫画やアニメ関連のコンテンツビジネスを立ち上げる。その後、デジタル業界に興味を持ち、デスクトップパブリッシングやコンピュータグラフィックスの専門誌創刊や、CGキャラクターの版権管理ビジネスなどを構築。2005年より企業のeマーケティング改善事業に特化した新会社、ショーケース・ティービーを共同設立。現在は、取締役最高執行責任者として新しいWebサービスの開発や経営に携わっている。
近著に『知的生産力が劇的に高まる最強フレームワーク100』『革新的なアイデアがザクザク生まれる発想フレームワーク55』(いずれもソフトバンククリエイティブ刊)、『頭がよくなる「図解思考」の技術』(中経出版刊)がある。
連絡先: nagata@showcase-tv.com
Webサイト: www.showcase-tv.com
Twitterアカウント:@nagatameister
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