親身になって話を聞いているのに、部下の心が離れていくのはなぜ?:そのひとことを言う前に(2/3 ページ)
相手の気持ちを読んで会話をする――。スムーズな会話をする上で欠かせないポイントなのですが、これが意外と……というか、なかなか難しい話なのです。今回は相手の期待に応えるコミュニケーションについて考えてみます。
「相手の感情に適切に反応する」のが大事だが……
2つのケースに共通して言えるのは「相手の感情をスルーしている」ことです。
相手とスムーズに会話をするには「相手の『喜怒哀楽』に適切に反応する」ことが重要です。例えば“喜”なら「よかったね、それは嬉しいよ」、“哀”なら「辛かったね、きつかったね」など、“気持ちを理解していること”を言葉や口調、しぐさなどで表現し、相手に伝えるのです。こうすることで、相手は安心して次の話を続けられるようになります。
とはいえ、「それができりゃ苦労しないよ」「分かってはいるんだけど」などと思う人もいるかもしれません。当たり前で簡単なことのようにも見えますが、これが意外と難しく、自分はできていると思ったのに相手の気持ちは違っていた――ということも起こりがちです。
相手の喜怒哀楽に適切に反応する――これは「相手の感情を判断する」「感情に合わせた対応をする」という2つの段階に分けられますが、それぞれにリスクがあるのです。
感情を読み違えるのは、自分の興味関心に集中しているから
まずは、相手の感情を判断する段階でミスをする、つまり「相手の感情を読み違えてしまう(または、分からない)」可能性があります。これを恐れて、相手の感情に反応しないという人もいるかもしれませんが、何かしらの反応はした方がよいでしょう。相手が「話を聞いていないのでは」という不安にかられてしまいます。
感情を読み違える1つの“落とし穴”として、自分の興味や関心、つまり自分が「聞きたいこと」に考えが向いていることが挙げられます。「自分が関心を持ったことは、相手の反応してほしいポイントとは異なる」と意識しておくべきです。
相手の感情が読めない、反応してほしいポイントが分からない場面もあると思います。そういうときは「今の話聞いて、きつそうに感じたよ」などと感想を伝えてみましょう。それが相手の感情と違えば「そうかなー? 自分は○○なんだけどね」といった形で答えてくれますし、真剣に聞いていることも伝わります。
相手の発言をまとめた形で繰り返す「オウム返し」という方法も有効です。単純な例ですが、子どもが転んで「痛いよー」と泣いているとき、「そっかー、痛いんだね」と返す。これがオウム返しです。
こうして相手に会話を続けてもらい、様子をうかがいましょう。「なるほどね」「確かにね」みたいな短い言葉でもOK。使いすぎには注意が必要ですが(適当に返している印象を与えるため)、困ったときは使ってみて損はないでしょう。
関連記事
- 「でも」「だって」「どうせ」――人から相手にされなくなる“3D”発言に注意
会議や話し合いで、みんなから“話を聞いてもらえない”人を見かけたことはありませんか。実はみなさんも無意識のうちに、会議で嫌がられる発言をしてしまっているかもしれません。 - 「あー、この上司めんどくせ」と思っているアナタへ
異動や転職で新しい環境に移り、この人とは合わない、この上司とはうまくやっていける自信がない――と悩む人も多いのでは。今回は相手の性格や考え方を把握し、コミュニケーションをスムーズに行うメソッドを紹介します。 - じょうしは“ゴーレム”のじゅもんをとなえた!
人には“相手から期待された成果を出しやすい”という性質があります。うまく使えば、相手の成長を促すことができますが、逆のパターンもあるのはご存じでしょうか。 - 相談しない部下も悪いが、相談されない上司も悪い
部下のホウレンソウが遅い――。職場ではよく見られるトラブルですが、その原因は上司が“相談されにくい雰囲気”を作ってしまっているからかもしれません。部下が積極的に相談に来る上司になるための方法を紹介します。 - 「分かった?」と聞けば、新人は「分かった」と答えるに決まっている
後輩に指示を出して「分かりました」と言われたのに、実際には分かっていなかったり、失敗してしまったり。こいつ、本当に言ったことを理解しているのか――そんな経験はありませんか。この“つい分かったと言ってしまう”症候群の対策を紹介します。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.