「分かった?」と聞けば、新人は「分かった」と答えるに決まっている:そのひとことを言う前に(1/2 ページ)
後輩に指示を出して「分かりました」と言われたのに、実際には分かっていなかったり、失敗してしまったり。こいつ、本当に言ったことを理解しているのか――そんな経験はありませんか。この“つい分かったと言ってしまう”症候群の対策を紹介します。
連載「そのひとことを言う前に」
職場で感じるストレスの原因は、うまくコミュニケーションがとれないことによるものが多いようです。本連載では、伝え方や接し方、聴き方に至るまで職場でよくあるエピソードをもとに、仕事や物事がより円滑に進むようなコミュニケーションのヒントをご紹介します。一度、自分が発する言葉について見直してみてはいかがでしょう。
後輩と仕事をしていて、こんな場面に遭遇したことはありませんか? 教えたり、指示したりしたことに対して「分かりました」と言うのに、実際には分かっていなくて、失敗してしまう。そのやり直しで、さらに時間がかかる結果になる――。
新年度が始まり、新入社員や新しいメンバーを教育する機会が増えていきます。この“つい分かったと言ってしまう”症候群の対策を立てておきましょう。
なぜ、相手は「分かった」と言ってしまうのでしょうか。
彼らは決して不真面目なわけでも、頭が悪いわけでもありません。逆に真面目だからこそ「分かった」と言ってしまうのです。彼らは彼らなりに、先輩(あなた)の様子や状況をよく観察し、忙しいことを察しているのです。それでは、よくある失敗例を見てみましょう。こういうシーンに心当たりはありませんか?
先輩: 「来週の懇親会の幹事、○○さんに任せたから、お願いしますね。手配する内容は、日程候補のとりまとめと日程の確定、参加者の召集、会場の確保、予算と料理決定。あとは出し物の手配とか、あいさつする上司への連絡とかをやっておいてね」
後輩: 「(しまった、覚えきれない……。でも先輩は忙しそうだし、もう1度聞き返すのは申し訳ないよな)……はい、分かりました」
新人が質問できない理由とは?
質問できない理由は大きく2つあります。1つは保身のため、もう1つは、やはり間違った配慮のためです。例えば、以下のように相手は悩んでいるかもしれません。
先輩: 「来週の懇親会の幹事、○○さんに任せたから、お願いしますね。手配する内容は、この引き継ぎ書に書いてあるから。読んだら分かるようになっているからよろしくね」
後輩: 「はい。(指示の内容は)分かりました」
ケースA:保身のパターン
後輩: 「(手順書通りにやってみたけど、よく分からないところがあるな。読んだら分かるって言われたし、質問するとできないヤツって思われるかな……。とりあえずギリギリまでがんばってみよう)」
ケースB:間違った配慮のパターン
後輩: 「(手順書通りにやってみたけど、よく分からないところがあるな。読んだら分かるって言われたし、分からないときに質問していいって言われなかったし……。先輩も忙しいだろうから、質問していいと言われなかったのかな。とりあえずギリギリまでがんばってみよう)」
いかがでしょうか。先輩から見れば(ある意味)どうでもよい、細かいなことに悩んでいるケースが多いのが分かります。また、条件反射的に「分かった」と答える人もいます。「分かった?」と聞くから「分かりました」と答える人です。学習する能力が足りていない、という場合もありますが、緊張のあまり、そういった行動を取ってしまうこともあるので注意が必要です。
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