相談しない部下も悪いが、相談されない上司も悪い:そのひとことを言う前に(1/2 ページ)
部下のホウレンソウが遅い――。職場ではよく見られるトラブルですが、その原因は上司が“相談されにくい雰囲気”を作ってしまっているからかもしれません。部下が積極的に相談に来る上司になるための方法を紹介します。
連載「そのひとことを言う前に」
職場で感じるストレスの原因は、うまくコミュニケーションがとれないことによるものが多いようです。本連載では、伝え方や接し方、聴き方に至るまで職場でよくあるエピソードをもとに、仕事や物事がより円滑に進むようなコミュニケーションのヒントをご紹介します。一度、自分が発する言葉について見直してみてはいかがでしょう。
部下や後輩の“報告・連絡・相談”が遅い。事あるごとに注意しているのに、一向に改善されず、いつもぎりぎりになって問題が発覚する――。職場ではよくあるトラブルかと思います。
前回の記事では、新人がついつい「分かりました」と言ってしまう行動の裏には、自分に自信が持てず、先輩に対して気おくれしている心理があると述べました。部下のホウレンソウが遅いという問題も、ここに原因があるケースは少なくありません。
「それにめげずに来いよ!」と言いたい気持ちも分かりますが、自分の入社直後を思い出してください。本当に初日からガンガン質問できていましたか? 聞きやすい先輩を選んでいた覚えはないでしょうか。今回は部下や後輩から、積極的にホウレンソウしてもらえる上司になるための方法を紹介します。
自分が発する“オーラ”に気付いていますか?
職場を見渡すといろいろな人から相談される人がいる一方で、あまり相談されない人もいます。なぜ、こうした違いが生まれるかと言うと、いわゆる“話しかけやすいオーラ”や“話しかけにくいオーラ”が表面に出ているからです。例えば、こんな経験はありませんか?
先輩: 「じゃ、頼んだよ。何かあったら、いつでも相談に来てください」
後輩: 「はい」
(1時間後)
後輩: 「(分からないことが出てきたから、先輩に相談に行こうかな……うわ、これはダメだ。眉間にしわ寄せて画面をにらみつけてる。キーボードを叩く音も激しいし、忙しそう。なんか機嫌も悪そうだし、後にしよう……)」
この“オーラ”という、なんとなく伝わる空気感や雰囲気はなぜ出てしまうのか。紹介した例は分かりやすいと思いますが、主に表情やしぐさといった行動が原因です。
眉間にしわを寄せ、画面を凝視している様子から、周囲の人は「この人は機嫌が悪い」と判断するでしょう。また、タイピングのスピードや足の貧乏ゆすりといったことも“忙しさ”を感じさせますね。こんな様子を見て「後にした方がいいのではないか」と相談が遅れてしまうのはよくある話です。私たちは普段、言葉や文字と、表情やしぐさ、口調といった行動を組み合わせることで、相手とコミュニケーションをとっているのです。
意外に思うかもしれませんが、コミュニケーションをする上では、表情やしぐさといった行動の方が、言葉そのものよりも相手に与える影響がはるかに大きいです。いくら言葉で「すごいね」と褒めていても、表情が伴わなければ「すごい」と思っている雰囲気はまったく伝わりません。
例えば、無表情な顔や冷めた目で「すごいね」と言われても、うれしくないのは想像できるでしょう。もしかして皮肉で言っているのか、と考えてしまうかもしれません。自分が相手に話すときは、表情やしぐさといった要素をいかに整えるかが、円滑なコミュニケーションを行う上でのカギとなります。
なので、後輩からホウレンソウを積極的にしてもらうには、自分を“話かけやすいような”雰囲気に整えることが大切なのです。部下や後輩がホウレンソウしない大きな理由の1つに、上司側が自分の発しているオーラに気付いていない、というケースがあることを意識しておくとよいでしょう。
このほかにも、歩くスピードや(女性では)ハイヒールの足音で苛立ちを感じさせる人もいます。自分が今どんな表情でこの記事を読んでいるか客観視できますか? 自分がどんな表情で仕事しているのか、自覚している人は案外少ないものです。
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