自分らしいスピーチ キーワードは「高さ」と「速さ」:表現のプロが教えるスピーチの兵法(3/3 ページ)
話す際、自分はどんな人として見られたいと思っていますか? 親しみ深い人でしょうか? それとも活発な人でしょうか? 声の高さと話す速度を見直して変えていけば、人に与える印象を操作できるのです。
手本となる人物をまねると早く上達する
「声の高さや話す速度を考えるなんて面倒だな」という人には、とっておきの方法があります。それは「物まねをすること」です。
学ぶの語源は「真似ぶ(まねぶ)」だとよくいいます。お手本になる人物を探し、その人をまねるのは学びの近道です。いつしかその人の声の高さや話す速度をつかんでしまいます。
物まねをする対象を探すときのポイントは、「○○社・取締役」や「〇×社・財務経理部・部長」、「○△社・総務部課長」など、自分と同じ肩書をもつ人を選ぶことです。
「貫禄のある役員らしく」「信頼される部門長らしく」「コミュニケーション能力の高い総務担当者らしく」など、自分の肩書に合った印象を相手に与えたいのであれば、同じ属性を持つ人物を具体的に目標として設定しましょう。
その人物の姿かたち、話し方、発言内容、行動ほか、手本となる人のさまざまな要素をまねすることは、個別に具体的なテクニックを学習するよりもスキルアップにつながることがあります。
いつの日か部下や周りの人から自分自身がまねされる対象になる日を目指して、自分の表現力を磨いていきましょう。
今月のポイント
あなたが目指したい人物はどんな話し方をしているだろうか。
その人の「声の高さ」と「話す速度」に注目し、まねしてみよう。
著者プロフィール:矢野香
キャスター歴17年。主にニュース報道番組を担当。大学院では心理学の見地から「話をする人の印象形成」を研究。現在は、政治家・経営者・管理職を中心に「信頼を勝ち取るスキル」を指導。著書に『その話し方では軽すぎます! 〜エグゼクティブが鍛えている「人前で話す技法」』がある。著者オフィシャルサイト
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