「火力調整」ができない人は人間関係をダメにする:サイボウズ式(2/2 ページ)
この人にはうまく伝わるのに、あの人にはうまく伝わらない……。その違いはあなたの接し方で生じている可能性があります。相手をよく観察し、適切な火力でうまく料理すれば、おいしい人間関係を築けるかもしれません。
「火加減のうまい人」たちの共通点
交渉や調整、部下の指導などがうまい人たちは、相手をよく観察し、適切な火力で対応しているようです。オラオラ系で強気が持ち味の人でも、普段は温厚で穏やかな人でも、もともとのキャラクターは持ちつつ、必要に応じて強弱を変えて相手に接しているのです。
ポイントは、「ここは強火でいかないとダメだな」と思ったとき、すぐに火を強められるかどうか。「今、この瞬間」を察知して、相手に対する火力を変えるテクニックはとても有用です。また、このテクニックがうまく作用するのは、「強火の自分」と「普段の自分」との落差が大きい」ときで、落差が大きければ大きいほど、効果は高いと考えていいでしょう。
このテクニックが有効に機能するケースを分解してみると、以下3点それぞれのパラメータがあるのではないかと思い至りました。
(1)相手のキャラクター
(2)自分の普段のキャラクター
(3)今、この瞬間の状況とお互いの関係性
(1)こちらが強い態度で接しても効かないタイプの相手なら、「強火」の態度をとるのは得策ではありません。(2)自分の普段のキャラクターが「怒りの沸点が低い」と、ここぞと思って「強火」にしても、周りからは「また◯◯さんがキレてるよ〜」と茶化されるだけで終わりかねません。
(3)は、見極めに注意が必要です。例えば相手から失礼な対応をされ、反発して強気の態度に出る場合、そうなるのも当然といえる状況かどうか、またそれを表明してもいい関係性かどうかの判断を見誤ると、これまた火力調整が有効に働きにくい状況になるでしょう。
「人間関係の火加減」を意識すると副次効果も
さて、ここまで分解してみて、あることに気づきました。それぞれのパラメーターが適正であるときにのみ「火加減」が有効なのだとしたら、そのテクニックを身に付けることで「相手をよく観察し、自分を客観視できている」状態を作れるということです。
自分を客観視できていれば、「今、自分は強火で接しているな」と意識することで、怒りや拒絶の感情をコントロールしやすくなり、自分を不利な状況に追い込みにくくなります。自分と相手、そして今の状況と関係性を客観視することで、カッとなって言い過ぎたり、やり過ぎな態度をとってしまったりすることを予防でき、二手先三手先の展開を予測しやすくなるのです。
「人間関係の火加減」を意識することで得られる副次効果によって、相手との交渉を有利に運んだり、自分を冷静に客観視してつまらない手に引っかからないようにしたりできます。さらに、相手のキャラクターや状況を観察するクセをつけると、部下や後輩の育成にも役立つでしょう。
料理と同じで、どんなによい素材でも火加減を誤れば失敗してしまうこともあります。しかし、けっして最高級とはいえない素材でも、丁寧に調理することで、思わぬ“ごちそう”になるかもしれませんよ。(はせおやさい)
関連記事
- サイボウズ式 記事一覧
- 読まれないマニュアルに価値はない
業務マニュアルは仕事の引き継ぎに便利な上、業務の見直しも役立つが、とにかく作成とメンテナンスに手がかかる。今回は、チームの共有資産であるマニュアルを時間をかけずにつくるコツを紹介しよう。 - 「横暴×マメ」こそ最強のリーダー
人を人とも思わないような横暴なリーダーであっても、部下に「この人のためなら頑張れる」と思わせたらしめたもの。そんなリーダーになるために守るべき“5つの習慣”を伝授しよう。 - 「何がやりたい?」に答えられない若手には
秋になり、部署異動になったという人も多いはず。異動してきた新メンバーのモチベーションを探るために上司が「何がやりたい?」と聞くケースもよく見受けられますが、これが両者のすれ違いを起こす引き金になってしまうことも多いのです。(2014/11/6) - 叱り方が分からない上司、それってアリ?
「バカヤロー!」なんて怒鳴る時代ではない。かといって何も言わないのもダメ。ではどう叱ればいいのか……。今回は部下から反感を買うことなく、言うべきことをきっぱり伝えられる“叱り方”を紹介しよう。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.