「言い訳はやめてください」:困ったときの“モノの言い方”
ビジネスシーンでは相手との関係に配慮しつつも、言うべきことを言わなければならない場面が必ずあります。今回は、失礼を承知で発言するときや相手の言動を注意したいときなど、オブラートに包んで指摘するための言い訳や言い換えを紹介します。
連載「困ったときの“モノの言い方”」について
本連載は、村上英記著、書籍『言い訳・口ごたえに聞こえない 困ったときの「モノの言い方」言い換え辞典』(日本実業出版社)から一部抜粋、編集しています。
理由を説明したり、反論したり、主張したりすると、「言い訳するな」「口ごたえするな」と思われそうだから、黙ってしまう。あるいは、とりあえず「すみません」と言ってやり過ごす――。
そんな人のために、心から謝罪し失敗を取り戻す“窮地を脱する言い訳"や、「言いにくいこと」を的確に、かつやわらかく伝える“角を立てない言い訳"を、「ふだんの言葉」から見つけられる辞典にしました。
「言い訳」はビジネスの必須スキル。相手と状況に合わせたフレーズを選べば、困った場面でも信頼関係が保てます。仕事で「やらかしたとき」こそ、きちんとした敬語と表現で切り抜けましょう。
相手の言い訳をやめさせたいとき
「つべこべ言わないでください」
「つべこべ」は重要でない事柄について、あれこれ話すことを指します。似た意味で「四の五の言う」といった表現もあります。「四の五の」は江戸時代のサイコロ賭博で「丁(四)」が出るか、「半(五)」が出るか迷うことに由来する、という説もあります。どちらにしても相手の発言を軽んじる言い回しになるので、ビジネスシーンにはふさわしくないでしょう。
「おっしゃりたいことはあると思いますが」
メールなどの書き言葉として使う場合は、「主張なさりたいことは諸々あるかとは存じますが」などとするとよいでしょう。「言い分があるのは分かるけど、聞けません」というニュアンスになります。
例:おっしゃりたいことはあるかと存じますが、とにかくいまは今後の対策を考えましょう。
「心中お察ししますが」
「あなたの気持ちは分かりますが」という意味です。「心中お察しする」は本来、相手に同情することなので、相手に悪いことがあった場合などに使われます。
例:心中お察しします。いろいろご事情はおありだと思いますが、いまはこの損失をどう埋めていくかをご相談しましょう。
上司にモノを言いたいとき 角を立てない2つのポイント
上司との恵まれない関係は、ビジネスではよくある悩みの種のひとつです。上司に意見したい場合などは、とても困ります。そういうときはどうすればよいでしょうか。
ふつうは部下が上司に意見することはあり得ませんから、上司のプライドを傷つけたりしないように、また意見を受け入れてもらいやすいような言い方をするといった配慮が必要です。ここで気をつけたいポイントを2つ紹介します。
1つは前置きです。「余計なことかもしれませんが」「出過ぎたまねをするようですが」「若輩者が余計な口出しをするようですが」「生意気かもしれませんが」などの自分の意見をへりくだる前置きを入れるのです。
2つめは、一見反対意見ではないような表現を使うことです。
「もし部長のご意見のようにすると、こういうおそれがあると思いますが」
「もしこんなふうに相手から言われたら、どのようにしたらよいでしょうか」
「先方の○○専務はこんな意見を言ってくるかもしれませんが、心配はないでしょうか」
「いまひとつここがよく分からないのですが、教えてください」
などのように言えば上司も自分の意見を客観的に眺めることになり、再度検討してくれるに違いありません。
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