スピーチを成功させたければ、準備に十分な時間をかける:表現のプロが教えるスピーチの兵法(1/2 ページ)
何度トライしてもスピーチがうまくいかない、という人も少なくありませんが、そんなときはスピーチを行う前の準備作業を見直してみましょう。準備に時間をかけるほど、スピーチに対する自信が生まれるのです。
月刊誌「企業実務」とは
「企業実務」は、経理・総務・人事部門の抱える課題を解決する月刊誌。仕事をすすめるうえで必要な実務情報や具体的な処理の仕方を正確に、わかりやすく、タイムリーにお届けします。1962年の創刊以来、理論より実践を重んじ、“すぐに役立つ専門誌”として事務部門の業務を全面的にバックアップ。定期購読はこちら。
本記事は企業実務のコンテンツ「表現のプロが教えるスピーチの兵法」から一部抜粋・編集して掲載しています。
私のスピーチコンサルティングを受けてくださっている経営者の人(仮にAさんとします)が、先日、講演を行いました。講演のテーマは、自分の人生を通してビジネス成功の秘けつを語るというものでした。聞き手はおよそ500人で、時間は90分。
その講演のために2時間のスピーチトレーニングを行ってから本番のスピーチに臨んだところ、「感動した」という声をたくさんいただいた、という成功報告をしてくださいました。
入念な準備なくして成功はない
なぜAさんの講演は、聞き手にそれほどの感動を与えることができたのでしょうか。それは、「スピーチのための準備が完璧だったから」と私は分析しています。では、どんな準備をしたのか紹介しましょう。
最初に、Aさんが持っているネタ――講演で話すための材料を大量に書き出しました。これは準備段階ですから、メモ書きでもPCへの入力でもかまいません。
とくに、今回のテーマは「自分の人生を通してビジネス成功の秘けつを語る」という壮大なものでしたので、この段階では一代記を書けるほどの膨大な量のネタが出てきました。そのなかから、人前で話せるネタや講演の内容に添ったネタなどを取捨選択。これらを整理してノートにまとめていきました。いわば、自分のネタ帳をつくるのです。このネタ帳こそが、スピーチをする際の貴重な財産となります。
余談ですが、リーダーの人からスピーチについてよく伺う悩みが「『ちょっと一言挨拶をお願いします』と突然頼まれることが多くて困る」というものです。こうした突然のスピーチ依頼でも、前もってネタ帳をつくっておくとあわてずに対処することができます。
また、ネタ帳を聞き手の対象別に分けておくとさらに実用的です。社内の人たちに向けてスピーチする場合、社外の取引先でスピーチする場合、社会活動の場でスピーチする場合など、ケースごとに用意しておくのです。
しばらくはネタ帳そのものを持ち歩くことになるかもしれませんが、場数を踏むと頭のなかにネタが刻み込まれてきます。そうなればノートを持ち歩く必要もなくなります。
関連記事
- 強弱を付けながら話すと相手に伝わりやすくなる
自分らしさを前面に出した話し方をすると、話を最後まで聞いてもらいやすくなります。人から物まねをされるほどの「個性」を確立できればなお効果的です。今回は、そんな自分らしさを打ち出す際のポイントを解説します。 - 聞き手を不安にさせる話し方
「この人の話、なんか信頼できない」「聞いていると不安になる」――。せっかくいい話をしていても、話し方ひとつで台無しになる場合があります。そんな悪い話し方のクセを直す方法を紹介します。 - 表現のプロが教えるスピーチの兵法(2):なぜ、あの人のプレゼンはうまくいくのか――ポイントは“第一印象”にあり
同じ内容の話をしても、人によって説得力や影響力に差が出ることがあります。そんなとき、「世の中、不公平だ!」とぼやいて終わらせるのは未熟者がすることです。「対人認知」の心理を押さえて、状況を変えていきましょう。 - 表現のプロが教えるスピーチの兵法(3):印象が弱い人の言葉は“響かない”――伝わる人の“キャラづくり”とは
人に話を聞いてもらうときには「好印象を与える」ことが重要です。いくらすばらしいスピーチ原稿を用意しても、これがなければ聞き手に響きません。今回は、“聞いてもらえる人”になるためのキャラ作りを考えます。 - 自分の話し方を「客観的」に研究する
話し方を改善するには、自分の話が相手にどう聞こえているかを客観的に検証する必要があります。そのために有効な方法は、自分の会話を録音して聞き返すことです。 - 普段から心がけるコンパクトなコミュニケーション
ソフトバンクの強さの源泉はコンパクトなコミュニケーションにあり、社員はそのための強烈な訓練を受けていた。 - 「伝える」前に知ってほしい、「伝わる」コミュニケーション6つの前提
具体的なコミュニケーションスキルを知る前に「コミュニケーションとは一体何か」、まずは知っていると便利な「コミュニケーションの6つの前提」を知っておくといいでしょう。 - あなたの話は伝わってますか? 伝わらない人の4つの話し方
「同じような内容の企画でも、自分の出したものが採用されない」「ふと気づけば、話しているときに相手がつまらなさそうにしている」――それは話し方の問題なのかもしれません。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.