聞き手を不安にさせる話し方:表現のプロが教えるスピーチの兵法(1/2 ページ)
「この人の話、なんか信頼できない」「聞いていると不安になる」――。せっかくいい話をしていても、話し方ひとつで台無しになる場合があります。そんな悪い話し方のクセを直す方法を紹介します。
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本記事は企業実務のコンテンツ「表現のプロが教えるスピーチの兵法」から一部抜粋・編集して掲載しています。
前回は、話す時の悪いくせの1つである「瞬き」を自分でコントロールするためのトレーニングをご紹介しました。実際に、試してみましたか? 文章を読むだけでなく、実際に試しながらこの連載をお読みいただければ効果が実感できるはずです。今月も、ぜひ実際に声に出しながらお読みください。
聞き手を不安にさせる話し方
今回は、「瞬き」と並ぶ悪いくせの代表格をご紹介しましょう。それは「語尾を上げながら話すこと」です。
日本語では、話す時の音の上がり下がり(イントネーション)が正しくできているかどうかが、聞き手の印象を左右します。語尾を上げながら話すと、それだけで信頼性は大きくダウンしてしまうのです。
語尾を上げて話す典型的な例として、助詞を上げるくせが挙げられます。
例えば、「私は、会社を経営しています。」という文章は「私は」「会社を」「経営して」「います」の4つの文節に分けられます。このうち「は」「を」の部分で音が上がってしまうケースが多いのです。このくせは、若者だけではなくリーダー層のなかにも見受けられます。
「○○がぁ、××のぉ、△△でぇ」と文節の切れ目ごとに語尾を上げると、聞いている側は不安な気持ちになり、それによって話の内容についても信頼性が揺らいでくるのです。
イントネーションを意識して話す
一般に、文章全体のイントネーションは、文章の冒頭が一番高く、そこからしだいに音が下がってきて、文末が一番低くなるのが正しい形です。
「私は、会社を経営しています」であれば、「私」が一番高く、「しています」の「す」が一番低くなります。1つの文章に対し、1組の高低のイントネーションで話します。
「私は、文京区本郷で株式会社○○という××業の会社を経営しております、山田太郎と申します。」というやや長めの文章の場合も同様です。
冒頭の「私」の音が一番高く、続く「文」「株」「×」「山」の順に音が低くなり、「申します」が一番低くなります。
語尾を上げながら話すなど、自分の勝手な調子で、音の高さをバラバラにしてはいけません。高いところから低いところへ、というルールに則って話すことが、聞く側に安心感を与えるのです。
正しいイントネーションで話せば、聞いている側は、声が高い音から低い音に下がってくることで、「この発言はそろそろ終わりだな」と予測することができます。音がルールどおりに上下することで、話の切れ目、区切りがしっかり認識できるのです。
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