収集すべき顧客データの種類:CRMの基本(1/2 ページ)
カスタマーカードへの記入内容や会員プログラムの登録内容、コールセンターへの問い合わせ履歴など、Web上のアンケート調査などから顧客データを収集し、顧客データベースを作成します。
連載「CRMの基本」について
本連載は、坂本雅志著、書籍『この1冊ですべてわかる CRMの基本』(日本実業出版社刊)から一部抜粋、編集しています。
GoogleやAmazonなどの有名企業が一番重視しているのがCRM(Customer Relationship Management:顧客関係管理)です。
CRMは「企業と顧客の長期的かつ良好な関係を構築する手法・戦略」ですが、ここ数年でCRMを取り巻く環境は激変しています。
ポイントカードや会員プログラムだけでなく、Amazonのレコメンド機能やGoogleの行動ターゲティング広告、携帯電話会社の割引施策まで、その範囲は多岐にわたります。
直近の動向・トレンドを踏まえ、CRMの必須知識や導入のポイントを解説した1冊です。
定量データ
顧客データは大きく分けて2種類あり、定量データと定性データに分けられます。顧客データ(顧客情報)と購買データ(顧客購買履歴)は定量データに該当します。
顧客データ(顧客情報)
いわゆる顧客の属性情報です。例えば、次のような個人を特定することができる情報です。
- 氏名
- 住所
- 電話番号(および携帯電話番号)
- メールアドレス
- 生年月日(年齢)
- 家族構成
- 勤務先
- 学歴
- 職歴
- 年収(および世帯年収)
その他、趣味や嗜好性なども、これに該当します。
収集方法
主要項目については、何らかの会員登録サービスの登録フォーム(紙やWebなど)に記入・入力してもらうことが考えられます。
また、コールセンターへの問い合わせ履歴も、情報を深化させることにつながります。そのため、単に電話応対を行うだけではなく、履歴を管理し、情報を還流させることを意識したコールセンターとすべきです。
かつては郵送がメインでしたが、Eメールの普及に伴い、Web上のアンケート調査も顧客データを取得する有効な方法です。
顧客ではない人からの資料請求や問い合わせなども、見込顧客データとして、データベース化ができます。そうした見込顧客のデータベースを活用して、新商品の案内を送るといったプロモーション活動に生かすことができるようになります。例えば、再春館製薬所では「無料お試しキット」を送ることで、優良見込顧客データを収集していることになります。
「生年月日(年齢)」のようなセンシティブな情報は、収集しがたい側面もあります。あるアパレル企業では、そうした場合に店舗のスタッフが顧客の容姿や口調などから総合的に判断し、推定年齢を5年刻みなどで管理しています。
購買データ(顧客購買履歴)
顧客がどのような購買行動をとったか。実際には「いつ」「どこで」「誰が」「何を」「いくらで」「どれだけ」「どのように」といった購入時点の状況を示す情報です。その累積が、優良顧客の定義につながります。
収集方法
実店舗であればPOSレジからのデータ収集、オンライン店であればWebからのデータ収集が一般的です。
顧客データにひもづけられない購買データでも、販売スタッフの推測をベースに、顧客の年齢や性別などをデータとして残しておくことで、顧客データとの連動を疑似的に行うことになります。
POSシステムや顧客管理システムの導入はコスト負担がそれなりに多くなってくるので、必要に応じて検討することになります。
システム化が大事なのではなく、「どのような情報を取得し、活用すべきか?」を検討することが重要です。
インターネットデータ
前述の顧客データ、購買データの両方に関係する情報です。ほとんどのBtoC企業が設置しているインターネットホームページに対する顧客(潜在的な見込顧客を含む)のアクセスログが中心になります。
「どの情報を経由して来訪したか?」
「どのような画面遷移を行ったか?」
「滞在時間や、どのページで離脱したか?」
などの顧客行動が把握できるのが最大の特徴といえます。
また、「ユーザーが何を検索しているか?」を把握することで、購買傾向を分析することにもつながります。
収集方法
Google AnalyticsなどのWebサイト分析ツールなどが挙げられます。
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