自己の変革のためにお金を使う:捨てる「習慣」
「欲しいから買う」というのは自然な消費行動のように見えますが、この発想ではお金が減っていく一方です。こういう人は「何に使ったのか分からないけど、なぜか給料日前にはお金がない」ということになりがちです。
連載:捨てる「習慣」について
本連載は、午堂登紀雄著、書籍『1つずつ自分を変えていく 捨てるべき40の「悪い」習慣』(日本実業出版社刊)から一部抜粋、編集しています。
「忙しい」という口グセ、完璧主義、自社基準の評価――あなたには「捨てたほうがいいかも」と思う習慣はいくつあるでしょうか?
時間と経験が積み重なると、自分でも気付かないうちに行動や思考が習慣化していきます。自分が本当は何を欲しがっていて、何がやりたいのかが分からないまま、情報や他人の意見に流されがちになります。
本書では、人生に「悪い影響」をもたらす40の習慣について、「捨て方」と「捨てて得られるもの」を具体的に伝えます。捨てたいと思うものを1つずつ捨てていくことで、あなたの人生は少しずつ前向きな方向に変わります。
「物欲」を捨てる
私たちは、何かの効用を得るためにお金を払います。お金を持っているだけではただ安心を得られるだけで、とくに私たちの生活が変わるわけではありません。
つまり、どのようにお金を使うかで、自分の環境や経験、生き方が変わるということです。ですから、「欲しい」という気持ちをどうコントロールし何にお金を分配するかで、私たちの人生は大きく変わると言えるでしょう。
そこで、「欲しい」という感情をコントロールする方法を2つ紹介します。
1.自己の変革のためにお金を使う
まず、お金を払う前に「それを買うことで自分にどういうメリットがあるか」「その出費は、自分にどんな価値をもたらしてくれるか」を、いったん立ち止まって考えてみることです。
例えば「新しいスマートフォンが欲しい」と思ったとき、「新製品がかっこいいから」「便利で使いやすそうだから」という理由だけで購入すると、ただ「快適」「うれしい」だけで、とくに何かが変わるということはありません。
しかし、例えばスマートフォンの便利な使い方や解説書を電子書籍にして売ろうという場合、自分の収入アップにつながるのでそれは立派な投資となります。
「新しい服がほしい」と思ったとき、「来週のデートに着て行くため」という目的がある場合、その相手と付き合ったり、あるいは結婚につながるかもしれないとなれば、あなたの人生を変えるイベントになる可能性があります。これは新しい服を買う大きなメリットがあると言えるでしょう。
しかし、「同じ服を着ていると思われるのがイヤだ」「いまの服に飽きた」という理由で買ってもただの自己満足です。日常生活に何らの変化ももたらさない。
こうしていちいち考えてみると、買うべきものはそう簡単に見つからないと気付くはずです。
もちろん、自己満足のために新機種のスマートフォンや新しい服を買うことが悪いわけではありません。そういう生き方を否定もしません。しかし「自分が満足すればそれでいい」という発想では、際限なく欲しいものが増え、お金が貯まりにくい体質であると言えるでしょう。
2.お金を使う「軸」を持つ
もっと根本的な判断軸をもっておくと、ムダ遣いを劇的に減らすことができます。それは、「自分が目指す状態に近づくために、あるいは幸せになるために、お金をどこに振り向けるのがもっともパフォーマンスが高いか」を決めておくことです。
私の場合は、「ビジネスと資産運用」にお金を投じることでより成功に近づき、「経験と健康」にお金を使うことで、より幸せになると考えています。
ですから、不動産を買うためには数千万円を躊躇なく使えますし、1回20万円の海外視察旅行に頻繁に行きます。Webサイトの更新は毎月業者にお金を払ってやっていますし、本代は毎月5万円を下りません。
知人や取引先との関係をつくり、深め、維持するために、飲食代をおごって招待することもよくあります。健康のために食材の安全には気を使い、ちょっと値段は高くても国産の有機野菜を買っています。
しかし、私服にほとんどお金を使うことがなく、数年に1回、破れたり毛玉になって着られなくなって買い替える程度。それもいわゆるファストファッションの店で買います。妻からは「ダサい」と言われますが、私服で自分をアピールしても私にはメリットがないからです。
一方で、スーツはオーダーメードで良い物を買います。講演やイベントなど人前に出る機会があり、そうした場での身だしなみは清潔感や信頼感につながるからです。
つまり、「欲しい」という衝動が生まれたときは、自分なりの合理的な評価法をつねに発動し、それでも納得できるときにようやく財布を開くようにする。そうすれば、「欲しい」という感情を捨てられ、無理せずお金が貯まるようになります。そしてすべての出費に納得感を得られ、ひいては満足できる生き方に変わると考えています。
捨てる「習慣」 その3
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