買い替えで退役になったNASの「現実的な使い道」3選:職場で役立つデジタル化レシピ
大容量モデルへの買い替えなどで“お役御免”になったNASはどのように活かすべきか。現実的な3つの使い道を考えてみよう。
この連載は
保管コストの削減はもとより、劣化の防止や検索性の向上、再利用の促進などさまざまな利点が認められ、徐々に広がりつつある紙の文書や帳票のデジタルデータ化ですが、用途や目的を考慮せずにむやみにスキャンすることでかえって効率が悪くなったり、作業に手戻りを発生させてしまうことも少なくありません。
また商法や税法で保管が義務付けられている文書の場合、電子帳簿保存法やe-文書法などのルールに則った手順を踏む必要があり、自分の判断でやみくもにデータ化するわけにいかないといった事情もあります。
本連載ではこうした現在の状況を踏まえつつ、文書のデータ化にまつわる情報、さらにはフォーマットであるPDFや変換機器であるスキャナ、保存先となるストレージに至るまで、業務現場と情報システム部門に役立つ知識やTips、活用術を幅広く紹介していきます(著者より)
ファイル共有に適した手頃な大容量の記憶装置として、SOHOや中小規模のオフィスでおもに利用されるNAS(Network Attached Storage)。なかでもLinuxをOSに採用したモデルは10万円以内の予算に収まる製品も多いため人気は高く、国内外の各社からさまざまな製品が発売されている。
そんなNASも近年は大容量化が著しいことから、ドライブが寿命を迎える前に新モデルと入れ替わりに「退役」を迎えるケースが多い。まだ十分に使える製品を廃棄するのはもったいないが、そのまま残してオフィスのNASをむやみに増やすのも避けたいところ。管理者を悩ませがちなこの問題について、今回は用途別に3つの生かし方を紹介しよう。
ドライブだけをほかのNASの交換用に残す
もっとも無難なのは、NASを構成していたドライブを取り外し、ほかのNASで障害が発生した際の交換用として用いる方法だ。同一モデルであればカートリッジの規格も同じなので、HDDを取り外さなくともそのまま抜き差しできるはずだ。
ただし異なるモデルで使う場合はカートリッジの分解および組み立てで一手間かかるほか、同じ容量もしくはそれ以上の容量でなければ交換用として意味をなさない。極端にスペックが劣っているドライブをRAID構成の中に混在させるのもパフォーマンスの低下をはじめとした問題につながる。
また、新型のNASを一斉導入したことによって旧型のNASが大量に不要になるといったケースでは、交換用にストックしておくにしても本数には一定の上限があるので、再利用の用途としてはあまり現実的ではない。NAS本体に障害が発生して修理せずに買い替えたが、ドライブは生きていたのでカートリッジを外して交換用に回す……といった少ない台数での入れ替えでは有用な方法だろう。
NASに内蔵されるHDDのカートリッジ。メーカーによりさまざまな形状があり、ネジ止めが必要なものもあれば、はめ込むだけで使える製品もある。このほかカートリッジレスでHDDをそのまま差し込む構造の製品もある
バックアップデバイスとして再活用する
バックアップ先デバイスに転用するのも1つの方法だ。SOHOクラスのNASをバックアップする際の外部ドライブには、USBもしくはeSATAの外付ハードディスクが用いられるのが一般的だが、同じメーカーのNASが2台あれば、一方をもう一方のバックアップ先として設定できる場合が多い。
これまでデータ保存用に活用していた2台のNASのうち1台をバックアップ用途に切り替えて存命させるというのは、大容量のNASを再活用する方法として望ましい。一定間隔でのデータコピー(バックアップ)と、リアルタイムでの複製(レプリケーション)の両方に対応した製品も多い。
また同一メーカーの製品でなくても、Rsyncに対応していれば、同様にNASからNASへのバックアップが行える。例えばバッファローのNASの一部製品はRsyncに対応しており、他社製NASのバックアップ用途に使用できる場合が多いので、交換したあとも活用が可能だ。
ただしUSBやeSATAのハードディスクを直付けしてバックアップするのに比べて速度は数分の一以下という場合も珍しくないので、データの書き替え量があまり多くないNASと組み合わせたり、あるいはバックアップを実行する時間帯を終業後に設定するなど、運用で工夫する必要はある。
ストレージ仮想化ソフトで容量をつなげて使う
NASとして活用したいのはやまやまだが、新規のNASを購入したこともあり、ドライブの数がこれ以上増えるのは望ましくない――という場合、ストレージ仮想化ソフトを使う方法もある。
オレガの「VVAULT(ブイボルト)」を使えば、複数のストレージを統合してひとつのドライブとして利用できる。内蔵ドライブやUSBハードディスクはもちろん、NASなども含めてすべてを1つのドライブとして扱え、また利用頻度の高いデータは高速にアクセスできるドライブへと移動してくれる機能などもあるので、古いNASも統合ドライブの1つとして有効活用できる。
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