“普通の人”のためのバックアップはSDカードとクラウドを上手に使う:半径300メートルのIT
家族のPCにつないであったHDDが壊れました。その中に入っていたのは2枚と同じものがない思い出の写真データ。やはりバックアップは大切ですね。
著者紹介:宮田健(みやた・たけし)
元@ITの編集者としてセキュリティ分野を担当。現在はフリーライターとして、ITやエンターテインメント情報を追いかけている。自分の生活を変える新しいデジタルガジェットを求め、趣味と仕事を公私混同しつつ日々試行錯誤中。
「何だかHDDが動かないんだけど?」――家族からのその一言で、目の前が真っ暗になってしまいました。妻のPCは容量が足りなくなるたびにUSB接続の外付けHDDが追加され、気が付いたら4つもぶら下がっています。そのうち2つのHDDが認識しなくなりました。この夏の猛暑で故障したのでしょう。
筆者も「いつか整理しよう」と放置していたところに起きた事故。中に入っているのは他のどこにもない自分が撮った写真。現在、HDDはデータ復旧業者に修理を依頼中です。
“普通の人”のためのバックアップをどうする?
この連載でも以前、バックアップについて取りあげました(関連記事)。しかし、この方法は手間も考え方も難しいようです。特にデジタルカメラが普及した今、写真をどう保管するのかということはPCを使う上で隠れた問題になっているようです。いまだ、その解決策を提供するサービスは見つかっていません。
そこで、今回は個人的にお勧めできるいくつかのアイデアを提案したいと思います。
写真はSDカード自体をバックアップメディアにする
SDカードは、登場したころに比べるとびっくりするくらい安くなりました。最近では16Gバイトで1000円を切っています。ならば、捨ての感覚で使ってしまいましょう。
旅行に行くときにSDカードを購入し、データは帰宅後にPCへコピー。SDカードは、その写真を入れたままどこかに保管します。これならHDDが故障しても、大事な写真はSDカードを探せばいいだけ。SDカードの容量が少なく、高価だったころなら考えにくかった方法です。
音楽はiTunes Matchを利用する
写真データ以外でHDDの容量を埋めているものといえば音楽ファイルでしょう。これについてはiTunes、iPhoneにどっぷりな人、そしてアップルを信用できる人(?)以外にはお勧めできませんが、筆者はクラウドに音楽ファイルをアップし、自分のデバイスで共有するiTunes Matchに保存(参照リンク)しています。年間3980円のバックアップと考えれば、個人的には安いと思っています。
写真、音楽ファイル以外はクラウドサービスを活用する
写真、音楽ファイル以外となると、ほとんどの人はごく小さなファイルしかないのではないかと思います。そこで、そのほかの全てのファイルはクラウドに保存してしまいましょう。少なくとも、個人のPCに保管するよりもHDDが壊れる危険性は低いでしょう。
具体的にはDropboxなどのサービスを利用し、クラウド側と同期させたフォルダに全てのデータを保存するだけです。Dropboxならば数世代分の履歴も保存しているので、誤って消してしまってもすぐに復活できるというメリットもあります。
Windowsを使っている場合、OSに融合しているOneDriveもお勧めです。無料で15Gバイトまで増量でき、今ならiOSのOneDriveアプリをダウンロードし、カメラアップロードをオンにするだけで30Gバイトまで無料になるキャンペーンも行われています(参照リンク)。これだけの容量があれば、iPhoneで撮影した写真は全部保存できるのでは。
ちなみに、iPhone 6の発売にあわせたキャンペーンですが、iPhone 6ユーザーだけでなく、これまでのiPhoneユーザーもAndroidユーザーもWindows Phoneユーザーも対象となります。
バックアップに興味を持とう、持たせよう
「HDDの故障は、バックアップを取ろうとした前日に起きる」という法則があります。HDDは意外と壊れるもの。さまざまなITユーザー向け記事では「バックアップは多重で取る」「NASを使ってRAIDを組む」といった文字が飛び交いますが、正直なところ、普通のユーザーには難しいのが現実です。
そして今回、筆者も痛感したのは家庭内にある自分の管理“外”のPCをどうするか。「デジタルカメラで写真は撮るけど、その写真データの保存には無頓着」という家族に対して、どうやってバックアップの考え方を浸透させるか。わが家に新たな課題が出てきましたので、これについては今後も慎重に考えなくてはならないと思いました。
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