アッカがAnnex Hを採用した理由

Annex H,あるいはSSDSLといえば,昨年8月に話題になったNTT東日本の「ISDNとDSLを組み合わせたサービス」が思い浮かぶ。しかし,アッカが狙うのは,上り回線の高速化による高付加価値の法人サービスだ。

【国内記事】 2001年7月19日更新

 既報の通り,アッカ・ネットワークスがG.dmt Annex Hを採用し,上下とも1.5MbpsのADSLサービスを発表した。Annex Hは,ADSLという区分ながら,上下対象のスピードを持つ仕様。アッカでは,これをNTT-MEの「XePhion高速IPエクストラネットサービス」およびNTTコミュニケーションズの「スーパーOCN DSLアクセス」の足回りとして提供する予定だ。

 Annex H,あるいはSSDSL(Synchronized Symmetric Digital Subscriber Line)といえば,昨年8月に話題になったNTT東日本の「ISDNとDSLを組み合わせたサービス」が思い浮かぶ。これは,既存の電話線にISDNのBチャンネル2本とDSLを同居させ(ISDN over DSL),電話とFAX,そしてインターネットアクセスを1本の回線で利用するという構想。NTTでは,その変調方式としてAnnex Hを利用する予定だったが,今のところ,具体的な動きは見られない(1月18日のNewsを参照)。

 アッカ・ネットワークスによると,同社がNTTのようなISDN over DSLサービスを提供する予定はないという。Annex Hを採用したのは,法人ユーザー向けに上り方向も高速な回線を用意する必要があったためだ。通常のWebブラウジングやメールといった用途なら,下り方向が高速であればことは足りる。しかし,データのアップロードやWebサイト管理といった企業の要求に応えるには,上り方向の高速化が求められる。もちろん,高速化だけならば,東京めたりっく通信などが提供しているSDSLという手段もあるが,あえて採用はしなかった。その理由は,ISDNと干渉する可能性だ。SDSLには,DBMを含む日本向けの仕様が用意されておらず,Annex Aと同じく,ISDNの干渉を受ける可能性がある。国内には約960万のISDN回線があるが,アッカは「とくに,われわれがサービスを提供する地域に多いと考えている。日本には6000万の電話回線があるが,その6分の1はISDNだ」と指摘する。

 G.dmt AnnexHには,日本のISDNが独自に採用しているピンポン伝送方式と同期をとり,干渉を最小限に抑える仕様が含まれている。「Annex Hは,従来の専用線の代替として位置付けている。専用線と比べ,大幅なコストダウンが可能になるだろう」(アッカ)。

 Annex Hの採用により,信頼性と上り方向の高速化を両立させ,企業向けの高付加価値メニューとして提供するのが同社の狙いだ。粗利の高い法人サービスは,価格競争のまっただ中にいる同社にとって魅力的な市場。一方,G.dmt Annex Cによる高速メニューを用意することで,コンシューマー市場での競争力を高める(7月3日の記事を参照)。どちらもISDNとの干渉を抑える仕様である点が,同社のスタンスを物語っている。

 もっとも,アッカがこのタイミングでAnnex Hの採用を表明したのは,国内のメーカーがG.dmt Annex CおよびAnnex H両対応のDSLAMをようやく出荷し始めたためだ。同社では,7月末から評価試験を開始し,9月にもサービスを提供する予定だ。このほか,イー・アクセスなどもAnnex Hの採用を検討している。下りの最大速度ではG.dmt Annex AやAnnex Cに及ばないものの,今後はこうしたサービスも増えてくる可能性が高い。

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[芹澤隆徳,ITmedia]

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