例えば,標準規格であるDOCSIS 1.0の場合,上下非対称で,下り30〜40Mbps,上り5〜10Mbpsの速度となる。上下対称の別方式を採用しているCATV事業者でも,上下8Mbps程度の速度が出せる。 今,CATVインターネットに加入している人は,これらの数字を見て意外に思うかもしれない。というのは,CATVインターネットでは,多くの場合,ユーザーごとに帯域(速度)が制限されており,ユーザーにはもっと遅い速度として提供されているからだ。CATVインターネットは,ポイント・ツゥ・ポイント接続の電話回線とは異なり,バス接続で,他ユーザーのデータ転送量の影響を受けやすいという性質を持つ。このため,少数のユーザーだけで帯域を浪費しないよう,ユーザーごとに帯域制限をかけることが多いのである。ユーザーごとの速度は,32Kbps〜8Mbpsと,CATV事業者やサービス品目によって大きな差がある。最近では,下り512Kbps以下/上り128Kbps以下の低価格コースと,下り1Mbps以上/上り128Kbps以上の高速コースを用意し,ユーザーのニーズによって選べるようにしているところも多いようだ。また,一部にはあえて帯域制限をかけないところもある。「最大14Mbps」などとカタログに表記されている場合がこれで,数字はモデムの仕様そのものだ。もちろん,実際にこんなスピードは出ないのだが,利用する時間帯を選べば,数Mbpsの通信が可能になる場合もある。大手事業者では,東急ケーブルテレビ(8月よりイッツ・コミュニケーションズに改称)などがそうだ。 さて,「どうせ帯域制限がかかっているのであれば,最高速度はどうでもいい」と思われるかもしれないが,より高速な回線を帯域制限しているだけなので,増速が容易だという特徴があるのだ。実際,従来,1Mbps未満の速度でサービスしていたCATV事業者の中には,ADSLサービスの登場を受けて,対抗上,1〜2Mbpsへ増速したところが多い(過去記事を参照)。実際の速度は,バックボーンなどの影響も受けるが,ユーザー側の設備を変更せずに増速できるのは,大きな利点である。
[吉川敦,ITmedia] Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved. モバイルショップ
最新CPU搭載パソコンはドスパラで!!
最新スペック搭載ゲームパソコン
FEED BACK |